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わせだマンのよりみち日記

2019.05.29

ミュージアムで、地球の将来を考える。 ~かごしま環境未来館 訪問記

住宅街に突如姿を現す、芝生の坂道? これは、かごしま環境未来館の屋根。「芝生で覆うと、コンクリートに比べて表面温度が最大40度も下がるらしいんですよ」と、スタッフの方が教えてくださいました。

そういえば、鹿児島は路面電車の線路スペースをいち早く芝生にするなど、環境意識が高い地域という印象があります。それをお話しすると、「あの芝生、実は手入れが大変だそうですよ。桜島の火山灰がありますからね」と苦笑い。個人的には呑気に「緑が多くていいなあ」と思っていたのですが、なるほど、地元の方でないと分からないご苦労がおありなのですね。

いずれにしても、鹿児島市の方々の環境意識の高さは、見習うべき美点なのではないでしょうか。それは、環境ミュージアムというこちらの館のコンセプトにも表れていますね。

 

そんなわけで、展示室へ。足を踏み入れた途端に、床に敷き詰められたショッキングな写真が目に飛び込んできます。飢餓に苦しむ子ども、汚染で魚が大量死した海、砂漠化で痩せ細った家畜を連れた同じく痩せこけた子ども、暑さのあまりごみの海に浮かんで涼をとる子ども…。こうして生々しい写真を見ると、世界に広がる「現実」が胸に迫ってきて、本当に苦しくなります。

 

次のゾーンでは、私たちが暮らす「大量消費型社会」が地球に何をもたらしているかについて分かりやすく解説する展示が中心。先ほどの写真のような光景は、なぜ引き起こされるのか。それは、豊かさを謳歌する私たちの暮らしそのものに原因がある…。優しく分かりやすい展示である分だけ、その淡々とした現実が不気味に感じます。

 

たとえば、こちらの展示。ペットボトルには、「使える水は、意外と少ない」と書かれています。地球上に存在する水がこのペットボトル1本分だとすると、私たちが使うことができる水は、どのくらいの量なのか。こちらの設問の答によれば、それは、なんとわずか1滴…。こちらのコーナーには、このように考えさせられる展示がたくさん用意されていました。

 

かごしま環境未来館では、数多くの環境関連団体が活動しています。そのため、夜は9時まで開館しているそうです。こちらの展示室には、各団体の活動が紹介されていました。里山体験をしたり、フェアトレードの材料でアクセサリーを作ったり。子どもたちがさまざまな形で、楽しみながら環境の大切さを学んでいる様子に触れて、少しホッとする思いがしました。

これは、昭和46年の小学校の様子です。当時の日本は高度成長期の真っ只中。ライフスタイルが大きく変わると同時に、深刻な公害問題に直面する時代の始まりでもありました。

 

ミュージアムの入り口付近には、海洋漂着物が展示されています。さまざまな国の言葉が書かれたペットボトルを見ていると、世界がつながっているということがよく分かります。私たちの暮らしが、遠く離れた国で暮らす子どもたちの悲劇につながることもあるのだろうと思うと、背筋が寒くなる想いです。

こちらのミュージアムは、来年3月に展示のリニューアルを予定しているです。職員の方のお話では、環境に関わる話題は変化も速く、10年前の展示では情報が古くなることもあるのだとか。

リニューアル後の展示は、今日見たものよりも衝撃がやわらいでいるのか、それともさらにショッキングな内容になってしまうのか。必ず確かめに来なければ…と思いました。

 


● かごしま環境未来館 https://www.kagoshima-miraikan.jp/