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2021.10.18

博物館クラウド「I.B.MUSEUM SaaS」の利用館(機関)が400館を突破

早稲田システム開発株式会社(東京都新宿区 代表取締役 内田剛史)では、現在、博物館向けクラウド型収蔵品管理システムサービス「I.B.MUSEUM SaaS」を提供しておりますが、本年9月30日時点で導入施設数が400館(機関)を突破いたしましたので、お知らせいたします。

10年を経過したクラウドサービス

クラウド型の収蔵品管理システム「I.B.MUSEUM SaaS」(※1)は、2010年11月にサービスを開始しました。ほぼ9年後の2019年10月に導入施設が300館に到達したのを境に、増加ペースが大幅に加速。その後は2年足らずで100館が新規導入、平均すると1年間で50館増という計算となります。
「I.B.MUSEUM SaaS」は、初期費用ゼロ&月額利用料3万円のみという低コストで運用を始めることが可能です。サーバ容量や通信量に関係なく一定で追加料金なしの定額制サービスで、過去約10年間で数十回にわたり機能改善を重ねてきました。クラウドサービスなのでユーザは常に「最新版」を利用することができ、ハードウェアを除けば老朽化とは無縁という持続可能性の高い安心のシステムとしてご活用いただいております。

博物館のIT格差の緩和を目指して

サービス開始当時、収蔵品管理システムは館専用として独自に開発するか、既存のパッケージソフトウェアを自館の業務で使えるようアレンジして導入するのが一般的でした。たとえば、美術館と歴史系博物館では、データ分類から項目体系まで、管理しなければならない情報内容がまったく違うように、館種や規模などによって扱う資料や業務フローが大きく異なるため、画一的な仕様のまま導入することはほぼ不可能だったのです。
独自開発とパッケージソフトでは後者が安価ですが、それでもカスタマイズには多額の費用がかかります。そのため、予算に余裕がない館では汎用ソフトウェアで対応するか、そうでなければ昔ながらの紙の台帳を使い続けざるを得ませんでした。また、導入時だけでなく、メンテナンスやバージョンアップ、機器の入れ替えなどで嵩み続けるコストは、博物館界に生じていた極端な「IT格差」の要因ともなっていました。
そこで弊社では、1992年に販売を開始したパッケージソフトウェア「I.B.MUSEUM」シリーズの開発ノウハウを背景に、クラウドサービスの研究に着手。カスタマイズの代わりに、管理内容をユーザ自身が自由にアレンジできる柔軟性の高いシステムの実現に漕ぎ着けました。サービス開始にあたっては、地方の小規模館でも他館と遜色ないミュージアムIT環境を容易にご構築いただけるよう、利用料を低額に設定。この「博物館界のIT格差を埋める」というコンセプトは、10年を経過した現在も変わりません。
近年、急速に広がりを見せるDX(デジタル・トランスフォーメーション)に対しては、博物館界でも注目が集まっています。「I.B.MUSEUM SaaS」は、上記のような柔軟性や低コスト性のほか、情報配信・展示案内・履歴管理など学芸業務を幅広くサポートする機能を早くから実装し、ノウハウを蓄えてきました。収蔵品管理の基本機能とミュージアムのデジタル活用をワンストップで支援できるクラウドサービスとして、今後も導入館は増加傾向を続けるものと判断できます。

数十回に及ぶ機能追加と積極的な情報公開

収蔵品管理システムは、館が所蔵する資料の属性や状態、関連する人物などの情報を一元管理するデータベースシステムです。「I.B.MUSEUM SaaS」は、画像データの無制限登録や書式を編集可能な帳票出力、インターネット上での検索サービスの運営など、情報の管理のみならず利活用まで統合された多機能性が大きな特徴です。
これらの機能群はサービス開始時点で揃っていたわけではなく、約10年にわたる歴史の中、過去数十回にわたる追加・改善で積み重ねてきたものです。機能の更新に関する履歴情報は、今後の実装予定や検討事項とともに、すべて一般に公開しています。また、クラウド以前の時代から全国の導入館を直接訪問して利用状況や要望などを訊く「ミュージアム・インタビュー」を不定期連載の形で発行中。2005年から本年まで過去170回を数え、「I.B.MUSEUM SaaS」ユーザのみに絞ってもすでに80館に迫るなど、情報提供には積極的に取り組んでいます。
なお、前者は「I.B.MUSEUM SaaS」ユーザ限定で公開中ですが、後者は一部個別事情のあるものを除きオンラインでご覧いただけます(※2)。

ポイント1 展示ガイドアプリ「ポケット学芸員」

「I.B.MUSEUM SaaS」では、収蔵品管理システムとしての機能はもちろん、館内外への情報発信の支援に向けた機能強化も重視しています。たとえば、2016年にリリースした「ポケット学芸員」(※3)では、複数館共有型のスマホ用展示ガイドアプリという新しいサービス形態を実現しました。「I.B.MUSEUM SaaS」の機能の一部として、クラウドサービスを契約中であれば無料で活用できることから、現時点ですでに100施設以上が運営中。特にコロナ禍以降は導入が伸び、非接触型サービスに適した来館者サービスツールとしても注目を集めています。
システムに登録されている情報をクリックひとつで配信できるほか、音声収録に作家本人や地元の学生を起用したり、ガイドの対象となる展示物の見えない部分を画像で紹介したりするなど、各館が独自に工夫できる点も大きな特徴。続々と誕生する成功事例の情報は、導入施設同士でナレッジとして共有できるよう、ニュースレターなどを通じて積極的に配信しています。先行事例を参考にした他施設がアレンジを加え、また新たな成功事例を生む…という好循環は、今後も続きそうです。

ポイント2 さらに開かれたデータベースへ

近年の「I.B.MUSEUM SaaS」にまつわるサービスアップでは、より開かれたデータベースを目指すという大方針を掲げています。たとえば、2017年には、「I.B.MUSEUM SaaS」で収蔵品データベースを公開しているページを横断検索するサイト「MAPPS Gateway」(※4)を構築。2019年度に搭載されたWeb API出力機能では、館の公式サイトのほか特設サイトや独自のスマホサービス内など、より多方面かつ幅広い用途での収蔵品情報の活用が可能に。さらに、2020年度にはジャパンサーチ連携データ出力機能も追加され、国の分野横断ポータルとのシームレスな連携への対応も可能となりました。
DX時代が深まる中、収蔵品管理システムは博物館の業務支援のみならず、さらに多様性を増す外部環境との連携性が強く問われる時代を迎えています。「I.B.MUSEUM SaaS」は、収蔵品情報の管理と活用を通してミュージアムの意義・価値の発信に資する「博物館クラウド」を目指し、今後も機能追加を継続して参ります。

 

・ 関連URL
※1 I.B.MUSEUM SaaS  https://www.waseda.co.jp/products/saas
※2 ミュージアム・インタビュー  https://www.waseda.co.jp/museum_interview?pref=&system%5B2%5D=1
※3 ポケット学芸員  http://welcome.mapps.ne.jp/pocket/
※4 MAPPS Gateway  https://gateway.jmapps.ne.jp/

・ 会社概要
会社名: 早稲田システム開発株式会社
代表者: 内田剛史
所在地: 〒169-0075 東京都新宿区高田馬場4-40-17 Foresight高田馬場4F
設立: 1992年7月
URL: https://www.waseda.co.jp/