代表ブログ

わせだマンのよりみち日記

2021.09.01

大人に必須の嗜みなら、企業の福利厚生にも

#私的考察

Science, Technology, Engineering, Mathematicsに「A」を加えるべし。2000年代半ばに生まれたSTEAM教育の概念のもと、文部科学省ではリベラルアーツの観点から文化や生活、経済、法律、政治、倫理などを含めた広範な定義を掲げていますが、Artと言えば、まずは芸術。少し前には「ビジネスパーソンもアートの感覚を身に付けるべき」と促す書籍が共感を集めた通り、いまや大人ライフの必須科目ですよね。歴史や民俗に加えて芸術もこれまで以上に人気を増すのであれば、これからはミュージアムの存在感もいっそう際立つのではないでしょうか。

そんな予感は、決して贔屓目だけとは思いたくありません。たとえば、ビジネスパーソンに「休日によく行うこと」を訊ねたアンケート(※)では、「美術館・博物館に行く」は何と堂々の第5位を獲得しているのです。首位の「ショッピング」以下、「映画鑑賞」「ドライブ」「飲み会」に続く好位置につけているのです。しかも、スポーツ観戦やランニング、ドライビングレンジ通いを含めたゴルフなど、かなり一般的な趣味をも上回っているのですから、何とも励まされる思いです。

ところが、このコロナ禍。飲食業や観光業が苦境に立つ中、民間系に多い入館料収入で運営費を賄う経営が確立したミュージアムもまた厳しい局面を迎えています。かく言う自分も緊急事態宣言の発令以降はトレーニングジムに通いたい気持ちを抑えざるを得ない状況ですので、何とも歯がゆい限り。ミュージアムではオンラインイベントなど新機軸への挑戦なども始まっていますが、収益性を見出すのはこれからといったところでしょうか。

各業界ともウィズコロナ社会への対応に苦慮する中、新サービスや新システム創出の動きも活発になってきました。ミュージアムまわりではコロナ禍前から『ぐるっとパス』が好評を集めていますが、上記「第5位」のような需要があるのであれば、メンバーシップやサブスクリプション的なスタイルとは意外に相性がよいかもしれません。

たとえば、企業の従業員向け福利厚生サービスを運営する事業者と提携し、ミュージアム使い放題系のメニューを固定収入化できれば、趣味のアート好きから子育て世代、旅行サークルや女子会まで、来館者促進としても幅広い層の動線に組み入れてもらえるかも。すでに割引チケットなどは事例があるようですが、実施館がまとまる形で入館料やオンライン企画の参加費、ノベルティなどもパックになったサービスがあれば、個人的にミュージアム好きが多い弊社スタッフも大喜びしてくれそうです。

時代によって社会の風景が移り変わるのは世の常とは言え、このコロナ禍は本当に困りもの。滅入ってしまうことも多い今日この頃ですが、ウィズコロナ時代のミュージアム像を何とか前向きに考えていきたいと願う毎日です。

 

※ビジネスパーソンの「休日の過ごし方」に関する調査 2016/株式会社ジェイアール東海エージェンシー

https://www.jrta.co.jp/research/person_vol20.pdf