waseda

早稲田システム開発株式会社

第4回 新宿ゴールデン街 お酒と楽しむ良質な「光」 写真家 モリ キヨコさん

新 宿ゴールデン街と言えば、雑踏と喧騒。もう少し詳しければ、小さな店が軒を連ねる中で、文壇人やジャーナリストが議論を戦わせた場所という印象をお持ちの方も多いことだろう。時代の流れに押され、一時は衰退気味というイメージが広まったものだが、最近、にわかに活力を取り戻しているという。これまでとは違う客層、つまり若者たちを惹きつける店が多数オープン。この日は、「アガジベベー」というバーのドアを開けた。

元 写真家のマスターが独力で作り上げたという店内の空間は、雰囲気から音楽まで、洗練された都心の止まり木といった風情。アートに深い理解を持つお店というだけに、さまざまなイベントが静かに行われている。今回お邪魔したのは、「ヨルノヒカリ 朝のひかり」と題された写真展。アーティストは写真家のモリ キヨコさんだ。光というテーマを「影」「闇」の存在で表現するような静謐な印象の作品群は、アーティスティックなお店のイメージにも美しくフィットしている。ひとしきり鑑賞させていただいた後、ご本人にお話を伺うことができた。  

モ リさんは、インテリアデザインを学ぶためにパリに留学していた従姉妹の影響で、写真を始めた。趣味で建築物の写真を一眼で撮っていた従姉妹に触発されたと言う。帰国後、彼女も技術を学んで、モチーフを探しに街に出る。ファインダーを覗くと、人物や風景そのものよりも「気配」にピントを合わせる自分がいた。「できるだけ人をフレームから外そうと思いました。人が映っていないけれど、そこに確実に存在する。そんな写真がいいなと思ったんです」。今回の展覧会に出品された作品は、夜の街をアテもなく歩き周りながら撮りためたものだという。確かに、人物の全体像が分かる作品は存在しない。だが、1枚1枚の写真には、間違いなく「見知らぬ誰か」がそこにいる。シンプルな構図に、複雑な生がある。

計 算され尽くした美よりも、ファインダーを覗く間に通り過ぎていく空気感を、どう捉えるか。風景も一期一会、その偶然性が面白いんです、と語る彼女が選んだのが、揺らめく影であり、息づく闇だった。そんなお話に耳を傾けながらもう一度作品の前に立つと、どことも知れない光源が織りなす繊細なグラデーションが、繰り返される「夜」の中で、新しい街へと生まれ変わろうとしている現在の新宿ゴールデン街のイメージそのものであるようにも思えた。たくさんの人が動くことで生まれる気流こそ、「文化」の正体なのではないか、と。展覧会の舞台となっている、このお店のように。

個展を開いた時点でそのテーマは終わりと思っていたが、もっと追い続けられるものだと知った、というモリさん。いまはこうしたチャンスを提供してくれる人々に感謝するのみで、「見せる」活動を自発的に続けていくかどうかは白紙の状態なのだそうだ。でも、それまでの習い事とは違い、自分自身の中に残った「撮る」という行為は、今後もずっと続いていくと思う、と彼女は静かに結んだ。だが、いまは誰もが人の温もり、アーティストの感性を求める時代。きっとまた、彼女の良質な「光」を堪能できる機会が来ると信じている。

 
モリ キヨコさん
 

モリ キヨコさん ウェブアルバム

Picasa ウェブアルバム
http://picasaweb.google.co.jp/morizo.photo

 
*HOT NEWS!*
PDF(1.88MB)

プライバシーポリシーサイトマップ
0120-14-9223 (平日 月〜金曜日9:30〜18:00)

Copyright (C)2005 Waseda System Development Co.Ltd. All rights reserved.