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収蔵品管理システム I.B.MUSEUM 導入ミュージアムインタビュー

ミュージアム名

当初は予算がついても、改修の費用が確保できない。
そんな悩みが、やっと解決できました。
研究副主幹 野村 恵子 さん
研究副主幹 野村 恵子 さん

-かなり前にI.B.MUSEUM をご導入いただいて、一度他社製システムに移られて、今はI.B.MUSEUM SaaS をご利用中…という経緯は、とても珍しいです。もしご記憶でしたら、昔の話からお聞かせいただけますか。

野村さん:少し記憶が曖昧なところもありますが、構いませんか?

-はい、もちろん。

野村さん:当時、当館では作品情報をデジタルデータで管理していこうという話になっていました。当館は「やきものだけ」という特殊な美術館なので、御社にお願いしてかなり作り込んだんですよ。細かい注文も、そのつど対応していただいて。

-どんな作り込みだったのですか?

野村さん:開館以来、キャプションや解説パネルを日英併記にしていたので、システムも基本情報はこれに合わせよう、と。まず英語用の入力欄を作っていただいた上で、館蔵品が書籍や研究論文に載ったら、それも入力できるような機能もお願いしました。

-かなり幅広いですね。充実したデータベースになりそうですが。

野村さん:そうなんです。研究に大いに役立つはずだったのですが…。

-当時のI.B.MUSEUM は、お役に立てなかったわけですね。

野村さん:いえ、欄は用意できたものの、入力が追い付かなくて。

-なるほど。どうしても人手がかかりますからね。当時ならなおさらのこと。

野村さん:名称やサイズ、窯、購入年月日や価格など、作品の基本情報までは何とか登録できたんですけどね。あと、常設展示の作品については、英文も入っていました。作品台帳のデジタル版という感じでしょうか。

-第一段階としては十分なようにも思いますが…。

野村さん:でも、やはり目指していたところが実現しないと、だんだん使用頻度が落ちていくんですよね。

-分かります。

野村さん:たとえば「画面表示を少し大きくしたい」という要望が出ても、改修の予算が確保できなくて。最初の構築時には予算がついても、後で改善していく段階ではなかなかつかないものなんですよね。

-仰る通りですね。弊社もそのあたりをお話しすることが多いです。

野村さん:本当は、改善しながら使っていくべきなんですけどね。結局、使いこなしているとは言えない状態になったんです。

-恐らくそうしたお悩みをお持ちの館は少なくないと思います。ミュージアム業界共通の課題ですよね。


吹き抜けからロビーを見下ろせます。

-その後に他社製のシステムに移られたということは、やはりI.B.MUSEUM に問題があったというご判断だったのでしょうか。

野村さん:いえ、違います。大阪市がデジタル化に予算を付けた時、ホームページも作るという話になりまして。一緒にシステムを見直すことになって、他社さんがプレゼンされたんです。その時は、それが使いやすそうに見えましてね。

-なるほど。新しいシステムはいかがでしたか?

野村さん:いろいろありましたが、ひとことで言うと同じ結果でした。

-原因も同じだったのですか?

野村さん:はい。機能的にちょっと欲張りすぎだったのか、検討不足だったのか、運用が始まると「ちょっと違う」という感触だったのですが、やはり改善費用が捻出できず…。

-再びI.B.MUSEUM SaaS を導入されたのは、何か理由があったのでしょうか?

野村さん:まず、大阪市の美術館・博物館の独立行政法人化の動きが以前からありまして。いずれは館蔵品の、まとまったデータを提出する必要があるのだろう、と。それに備えるには、「もっと精緻なデジタルデータを用意しておかなければ」という危機感があったんです。

-館蔵品は市の財産ですもんね。

野村さん:その通りです。それで、当時のデータは入力者による表記のばらつきもありましたので、ぜひ改善しなければ…と。

-前の2世代のシステムに共通する課題は、解決しましたか?

野村さん:解決できたと思います。今は「システムがないと仕事が進まない」という状態にはなっていますよ。一番大きいのは、システムで仕事をすることになれた若い世代のスタッフが入ってきたことですけれどね。

-タイミングが良かったんですね。

野村さん:それはありますね。以前のシステムは、使いこなす前に古くなって、改善する予算がないという悪循環に陥りましたが、I.B.MUSEUM SaaS はもともと費用が安い上に自分でアレンジできますからね。

-なるほど。改修費用の削減が検討ポイントだったわけですね。

野村さん:そうですね。経費が抑制できることは重要な要素でした。

-では、若手の皆様を中心に、これからが本番ですね。


特別展「ハンガリーの名窯 ヘレンド」の展示。

-先ほどの「使いこなせなかった」とのお話ですが、I.B.MUSEUM SaaSのご導入後は、館蔵品データをいち早くバイリンガルで公開されましたよね。実は、他館の皆様には、いつもお手本として紹介させていただいているんですよ(笑)。

野村さん:そうなんですか、ありがとうございます(笑)。

-あれ、ご準備が大変だったんじゃないですか?

野村さん:もとはホームページに多言語で出していた情報なんですよ。ですから、データベース上には他の言語の原稿もあります。

-ということは、本当はもっと多言語ページが必要になりますね。

野村さん:そうなんです。今は日本語版と英語版をデータベース形式で、中国語版と韓国語版をホームページで紹介する形を取っているんですが、I.B.MUSEUM SaaS だけで4言語のデータを公開できたらいいなと思っています。

-いまは2言語対応ですから、公開ページを増やせるかどうか検討してみますね。(メモ)

野村さん:ぜひお願いします。

-それにしても、ホームページの多言語展開はすごいですよね。ここまで対応できている館はめったにないと思います。更新が頻繁に発生する展覧会の情報まで多言語化されていますよね。

野村さん:ええ、展覧会情報は4か国語で配信しています。ふだん翻訳をお願いしている方々がボランティアで協力してくださることもあって、とても助かっているんですよ。

-なるほど、信頼関係があってこそですね。ところで、システムについてご不満な点はありませんか?

野村さん:多言語対応のほかに、ということであれば、出力機能で少し要望がありますね。

-詳しくお聞かせ願えますか?

野村さん:システム化を進めても、美術館の業務はどうしても紙で行う部分が残るんです。たとえば、「作品を見ながら調書に書き込む」という動作は、やはり紙の方が便利ですよね。

-タブレットの手書きアプリだと、便利なようでかえって煩わしい点もありますもんね。…あ、となると、自由にレイアウトできる出力機能が必要ですね。作品カードとかコンディションファイルとか。

野村さん:そうそう、それです。展示のキャプションなどもシステムから出力できるようになれば、すごく助かるかな…と。

-出力機能、重要ですね。(メモ)

野村さん:ぜひ検討していただけると嬉しいです。

-実は最近、ほかのユーザー様からも似たリクエストがあったので、具体的に検討してみますね。本日は、大変参考になりました。お忙しい中、ありがとうございました。

<取材年月:2017年7月>

MUSEUM PROFILE

大阪市立東洋陶磁美術館
「水の都」と言われる大阪を象徴する中之島公園の一画、図書館や中央公会堂などが点在する文化空間にある美術館。「安宅コレクション」の中国・韓国陶磁を中心に、「李秉昌コレクション」や濱田庄司作品などの寄贈、日本陶磁の収集などにより、大変充実した東洋陶磁のコレクションを誇ります。水と緑に建物が映える公園を散策し、素晴らしい作品を鑑賞する。そんな上質な都会の休日を過ごす方々の姿で賑わう、人気のミュージアムです。
ホームページ : http://www.moco.or.jp/
〒530-0005大阪市北区中之島1-1-26
TEL:06-6223-0055
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