HOME > Voice & Report TOP > ミュージアムインタビュー TOP > vol.73 財団法人 草月会
収蔵品管理システム I.B.MUSEUM 導入ミュージアムインタビュー
- 資料の中身は、システムから学んだようなもの。
データを登録してくださった先輩方に感謝しています。 - 事業部美術品管理係 常見 美智枝 さん
-I.B.MUSEUMをご導入いただいたのはかなり前ですよね。
常見さん:ええ、私は平成20年2月に着任したのですが、その時点ですでに使っていましたよ。美術品を管理する仕事は初めてだったので、ずいぶん助けられました。
-具体的に、どんな点で?
常見さん:この業務の担当は私だけですから、不明点があっても周りに聞く先輩がいないんです。作品の内容は、I.B.MUSEUMで覚えたようなものです(笑)。状態から履歴まで、詳細な情報がすべて登録されていましたからね。
-それは、システムと言うより、データ登録してくださった前任の方のおかげですね。
常見さん:そうなんですよ。前任に限らず、代々の職員が長い年月をかけて入力してきた積み重ねなんですよね。当時は右も左も分からなかったので、丁寧に登録された情報には、本当に学ばせていただきました。
-「情報を残す」というのは、本当に大事なことなんですねえ…。
常見さん:そうですねえ。紙ベースの管理では、多分、こうはいかなかったんじゃないかな。
-ほう? それはなぜです?
常見さん:資料は人によって分類の仕方も違うので、紙のカードだと探したい情報に辿り着くまでに慣れが必要でしょう? リストがあったとしても、画像などの情報量はやはり少ないですから、短時間で細かく理解するのは難しいでしょうし。
-作品の点数も多いですもんね。
常見さん:そうなんです。本当に、先輩方には感謝のひとことですよ。
-情報は受け継がれていくものなんですねえ…改めて実感します。
青空に映える近代的なビル。-さて、今年、I.B.MUSEUM SaaS に移行されましたが、キッカケは?
常見さん:早稲田さんの担当の方がサポートで来られた時、「システムがそろそろ古くなってきたようですので」と案内してくださったんです。当財団のこれからの仕事を考えると、こちらの方が可能性が広がるかな、と思いましてね。
-具体的には、どんな点に注目されたのでしょうか?
常見さん:以前のシステムは、部署によっては利用できない仕組みになっていたんです。まず、「SaaSなら全職員で情報を共有できる」という点が大きかったですね。
-具体的にはどんなメリットがありますか?
常見さん:たとえば、イベントや展覧会の際、作品が出庫されるたびに私の手元に伝票が回ってきていたのですが、みんなが一次情報にアクセスできると、それぞれが詳細な情報を知ることができて、リストも各自で作れますからね。
-なるほど、確かに業務負担は軽くなりますね。
常見さん:しかも、SaaSの画面にはタブがたくさんあるでしょう? 本当に詳しい情報を書くことができるので、自然に情報量が増えるんですよ。これは画期的でしたね。
-美術館とは違った、管理のための詳細情報が重要なんでしょうね。
常見さん:まさに仰る通りです。たとえば、当会では花器を多く扱っていますが、展覧会やイベントでは作品に花を生けて展示することがあります。そうすると、生け口のサイズはもちろん、剣山を入れられるかどうか、水受けは付いているか、水を入れて大丈夫か、ぐらつきはあるか……といった細かい情報が必要になるんです。
-「データが充実していた」という先ほどのお話、よく分かります……。
常見さん:実務的な情報もありがたいのですが、詳しいと言うより「深みのある」情報に触れることも重要だったりするんですよ。
-深みのある情報、ですか?
常見さん:ええ。コレクションを辿っていくと、当財団の考えや生け花に対する思いなどが、収集した作品を通して分かってくるんです。実はこれが一番大切なことなんのかもしれませんね。
-そう言えば、ある企業では、創業者の「イズム」を全社員に伝えることがデータベースの目的だと仰っていました。
常見さん:そのお考え、よく分かります。
-弊社は本当に大切な部分を任せていただいているのですね……。とすると、いまのシステムにも追加したい機能があるのでは?
常見さん:早稲田さんが時々送ってくださる資料の中に、ICタグの活用事例のニュースなどが出ていますよね。当会は収蔵施設が離れたところにありますので、出入庫の管理支援機能を強化してもらえると嬉しいですね。あとは、出力できるリストに画像を添付できるようになるとありがたいかな。
-ICタグは価格が下がってきていますし、流通業者でもかなり採用されているようですから、近い将来、実現可能だと思いますよ。他にお困りのことは?
常見さん:いえ、特には。実は私、コンピュータが苦手なのですが、担当の方はとても丁寧に教えてくださいますよね。よろしくお伝えください。
-ありがとうございます。喜ぶと思います。
赤坂御用地の南側。都心とは思えない落ち着いた場所です。
-それにしても、コンピュータが不得手だったとは、驚きですね。何でもご質問いただいて構いませんので、遠慮なさらないでくださいね。
常見さん:そう言われると、情報システム以外のことも相談したくなってしまいますね(笑)。
-何かお困りごとでも?
常見さん:ええ、私の仕事である美術品管理は、財産を管理するという目的がありますが、同時に作品を活用しながら保存するということも含まれますよね。企業の管財課の仕事の中に、学芸業務のノウハウが必要な場面がある、ということなんです。そんなとき、美術館なら隣の学芸員に聞けば1分で済むようなノウハウで、何日も悩んだりするんです。ノウハウは自分で体得していくのが本来の姿だと理解はしているのですが、本当の意味で「実務」に関わるような情報は、本で読んでも、インターネットで調べても、意外と出てこないものなんです。
-分かります。他でもそういうお話をお聞きしますよ。
常見さん:貸出で連絡を取った北海道の学芸員さんに、関係ないことをお尋ねして、いろいろ教えていただいたこともあるんですよ(笑)。美術館の学芸業務のノウハウがとても役立ったのを覚えています。
-美術館でも「一人学芸員」でお困りのところもありますから、学芸業務の知識共有サイトとして「学芸員オンライン」を作りました。『博物館研究』のバックナンバーも検索できますので、ぜひお使いください。
常見さん:それは素晴らしいですね。
-SaaSの使用方法に限らず、何でもご相談ください。弊社スタッフは学芸業務の知識を持っているわけではありませんが、他の館の詳しそうな学芸員の方をご紹介することもできますし。実際、そうしたご相談もよくいただくんですよ。
常見さん:何から何まですみません。私も諸先輩方に負けないように情報の登録を頑張って、公開も実現したいと思っていますので、今後もよろしくお願いします。
-こちらこそ。SaaSが何十年後の後輩のみなさんを助けるお役に立てると思うと、弊社もやる気が出てきます。本日はお忙しいところお時間をお借りいたしまして、本当にありがとうございました。
<取材年月:2011年9月>
MUSEUM PROFILE
- 財団法人 草月会
- 1927年、初代家元の故・勅使河原蒼風氏が創設した「草月流いけばな」を次代に受け継ぐ拠点の役割を担う草月会館は、日本間・茶の間に多目的ホールやイベントスペースを併設。生け花に限らず幅広い創造活動をサポートする施設として人気を集めています。赤坂御所の緑を映すカーテンウォールも印象的で、青山通りの憩いの場として人々を癒しています。
- ホームページ : http://www.sogetsu.or.jp/
- 〒107-8505 東京都港区赤坂7-2-21
- TEL:03-3408-1154








