ミュージアムインタビュー

vol.25取材年月:2006年10月松本市立博物館

複数の使用者がいる以上、必要なのはリーダーシップと調整能力。
みんなの思いをひとつにまとめることこそ、業務改善の第一歩です。
学芸員 竹原 学さん

-松本市立博物館さんにI.B.MUSEUMを導入いただいたのは、3年ほど前でしたね。

竹原さん:ええ、そうでしたね。その前は地元のシステム会社さんにお願いしたシステムを使っていました。

-稼働状況はいかがでしたか?

竹原さん:たくさん問題点がありましたね。だいぶ古くなっていたので仕方がないんですが、とにかくよく動かなくなって。その上、保守契約が切れていたので、システムが止まっても対応してもらえなくて。

-それはお困りだったでしょうね…。

竹原さん:ネットワーク型なのに複数のスタッフが同時に使うことができなかったり、とても小さい画像しか登録できなかったり。それで、ついに予算申請を開始しました。

-予算申請は、1回では通りましたか?

竹原さん:いいえ、無理でしたね。リースの切り替え時が来て、ようやく認めてもらえました。この間、早稲田さんとのお付き合いは、もう始まっていて。デモを見せてもらったり、導入館を見学させてもらったりしていましたので、予算申請も早稲田さんのシステムをイメージして行ないましたね。

-ありがとうございます。導入前からお付き合いいただく館は、以外に多いんですよ。

-それで、弊社のシステムを気に入っていただいた理由は?

竹原さん:まずは、なんと言っても事例数の多さですね。松本市の美術館でも採用されていましたので、将来、データ連携の話が発生しても対応できそうでしたし。

-ありがとうございます。やはり、事例の多さは安心感につながるものなんですね。でも、最近は随意契約は難しくなっていますので、やはり入札になったのでは?

竹原さん:ええ、システム全体としては入札をお願いしましたが、ソフトウェアはI.B.MUSEUMの使用を前提とさせてもらいましたから。実績の多さと市の美術館で使われている事実は、当時の当館にとってベストな選択だったので、迷いはありませんでしたよ。

-なるほど。収蔵品管理のシステムは、トライしてみるとなかなか難しいものですからね。実績にご注目いただいた部分は、弊社としても嬉しく思います。

竹原さん:設計段階の打合せも綿密にやっていただきましたので、当館職員も思ったより早く慣れてくれました。とても助かりましたよ。

-ありがとうございます。導入前に竹原さんが抱えていらっしゃった問題点の解決に、お役に立つことは出来たと思ってよろしいでしょうか?

竹原さん:もちろんです。当時の課題は、ほぼ克服できました。

-それはよかったです(これは高得点が期待できるかも…)。では、恒例の質問ですが、当社およびI.B.MUSEUMは100点満点で採点すると何点でしょう?

竹原さん:そうですね。80点くらいでしょうか。

-う〜ん…20点、減点がありますね(笑)。今後のために、ご不満点を教えていただけますか?

竹原さん:過去のデータベースとの互換性を気にし過ぎたとでも申しますか。前の悪い部分を多少引きずってしまったこと、それから市内他施設の回線速度の問題ですね。早稲田さんの責任ではない部分なのですが、今後のシステム改善への課題ということで。

-そうそう、忘れるところでした(笑)。今日、いちばんお伺いしたかったのは、複数施設での情報システムの共有化の話なんです。是非詳しく聞かせてください。

-こちらは「松本まるごと博物館」構想の中核施設ですよね。他の施設にも同一システムを順次導入されていて、庁内LAN等で連携性を重視しておられると聞いています。

竹原さん:ええ、その通りですね。

-「市内文化施設のデータ共有化」という観点では、全国的に見ても先進的な好事例だと思います。

竹原さん:ありがとうございます。まだまだ完成ではないんですけどね。

-館の性質も違えば、資料体系も違うはずですよね。実現には、かなり苦労が伴うのではないか、と想像しているのですが。

竹原さん:確かに、共通項目を定めたりするところでは、苦労しましたよ。でも、他の施設の資料体系は当館のものがベースになっていますので、大筋ではすんなり行ったほうじゃないかな?

-お互いの館で情報を閲覧したり加筆したりできるようになっているんですよね? 先ほど、回線速度の問題を挙げておられましたが、問題なく稼働していますか?

竹原さん:概ねは良好です。回線の都合で、操作が限定されている館もありますけどね。

-そのあたりが今後の課題ですか?

竹原さん:それも問題なんですが、すぐ次の課題が目の前に来ていまして(笑)。統合した情報を、今度は外に向けて発信しなくてはなりませんから。

-(む? それそれ!)ということは、具体的に計画されているんですね?

竹原さん:ええ、インターネットで公開が計画段階に入りました。市民の皆さんからお預かりした所蔵品を公開するのは、博物館の責務ですしね。当館は、今年で開館100周年ですし、ちょうどいいタイミングですので、来年を目標としているんですよ。

-すばらしいことですね。「まるごと博物館」構想の具現化として、市内の文化財情報の拡充として、また観光情報の新たな発信として…期待が膨らみますね。

竹原さん:そうなんです。「松本まるごと博物館」ポータルサイトとして、いろいろアイデアを練っているところですので、ぜひまた相談させてくださいね。

-いますぐそのお話をしたいところなんですが、インタビューですので(笑)。最後に、これからシステムを導入される館の方に、アドバイスをお願いします。

竹原さん:当館は、多数の館が使うシステムなので特例かもしれませんが、普通の館でもシステムを使う人は1人じゃありませんよね。最も重要なのは、彼らの意見を上手に取りまとめることだと思います。

-システム構築は、「作れば終わり」じゃないですしね。

竹原さん:そうなんです。その後の人材育成や業務環境改善の側面も含めて、システム担当者には調整・コミュニケーション力が求められると思います。あとは、努力を継続する意思ですね。

-なるほど。「リーダーシップ」と「調整能力」の両立ということになりそうですね。多数の館をまとめられた竹原さんのお言葉だけに、格別な説得力を感じます。本日はありがとうございました。

<取材年月:2006年10月>

Museum Profile
松本市立博物館 明治39年の開設から今年で100周年を迎えた、歴史ある総合博物館。松本城の敷地内にあり、平日でも観光客で賑わっています。平成12年に策定された「松本まるごと博物館」構想は、市に点在する文化財や自然・産業・人々の営みを含めて「市全体を屋根のない博物館」と捉えるという壮大なもので、当館はその中核施設と位置づけられています。すでに関連施設は16館に達した今後の「まるごと博物館」構想の展開とともに、記念すべき101年目の第一歩が注目を集めています。

ホームページ : http://www.matsu-haku.com/maruhaku/index.html
(松本まるごと博物館)
〒390-0873 長野県松本市丸の内4番1号
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