- vol.233取材年月:2026年4月大分市教育委員会文化財課
デジタルアーカイブは生きもののようなもの。
常に発展の余地があるくらいがちょうどよいと思います。主査 串間 聖剛 さん
-現在、デジタルアーカイブのデータ登録システムとしてご利用いただいておりますが、まずは構築の背景から教えてください。
串間さん:私は、以前の職場でも地域資料のデジタルアーカイブに関わっていたこともあり大分市でも作りたいと考えていたところ、コロナ禍の影響で非接触の情報サービスへの注目が高まったんです。
-構築にあたって、特に重視されたことは?
串間さん:市のあらゆる情報が入るライフラインのような箱にしたいと考えていました。研究者のものでもなく、過去の情報だけが蓄積されるだけのものでもない、未来に繋がるものを目指そうと思いました。
-その思いは名称にしっかり刻まれていますよね。
串間さん:はい。「文化財」「ミュージアム」という言葉は入れないようにしました。ただ、デジタルアーカイブをしっかりと社会実装していくには活用が大切ですので、地域おこし協力隊の方にもご協力いただいています。
-デジタルアーカイブの構築は、サーバ型からクラウド版への移行の契機にもなりましたね。
串間さん:当市の美術館と歴史資料館は以前からI.B.MUSEUM を導入していたのですが、美術館はクラウド移行を望んでいたようで、とても喜んでいました。また、図書館も郷土資料を登録・公開するシステムを必要としていたので、ちょうどよいタイミングだったそうです。
-ご参画の3館が、一気に新時代へと突入したわけですね。
-美術館様、図書館様にはお喜びいただけたようですが、歴史資料館様はいかがでしたか?
串間さん:正直に言って、以前はシステムが業務に浸透するまでには至っていませんでしたので、これを機に活性化させていきたいです。ただ、美術館とは事情が異なりますので、簡単ではないようです。
-長く続けて来られた施設固有の文化がありますし、ジャンル的にも難しい面があるかと。
串間さん:仰る通りです。ただ、将来のことを考えると、データベースの活用は必須になりますので、資料の整理・管理に関するコンサルティングや、実務に合わせたマニュアル作成などを御社にご相談できると嬉しいです。
-ぜひお手伝いしたいのですが、システム会社の弊社にはやや荷が重いような気も…(汗)。
串間さん:それはともかく、I.B.MUSEUM SaaSには、初期状態でとても充実したデータ項目が用意されています。あれは、たくさんの館の現場の業務利用を想定して作られたテンプレートだと思いますが、使い方をレクチャーいただくことはできますか?
-それなら可能です。いずれにしても、資料点数が多くてデータ整備が課題の館の場合、業務フローにシステムをうまく組み込むことはかなりの難作業ですよね。
串間さん:そうなんです。もちろん、これまでも資料データのデジタル化を進めてはきたのですが、ここまで資料点数が多いと、整備を完了させるまでには時間がかかりそうです。
-よく分かります。多くの館に共通する課題ですよね。
串間さん:また、引き継ぎ前後の担当者の意識によって「使いやすいデータ」の形が違いますので、データ作成の方向性が変わることもあります。でも、作業の方針が固定されていれば、代替わりしても継承していけると思います。
-なるほど。確かに、同種の館のデータづくりを多数見てきましたし、これからデジタルアーカイブ事業に臨む館でも必要とされる役割だと思いますので、社内体制の整備も含めて検討してみます(メモ)。ほかにご要望などは?
串間さん:画像については、もう少し高精細なものを公開できればと思います。
-IIIFなどへの対応でしょうか。最近、ご要望が増えたことを受けて社内で検討中ですので、もう少しお待ちください。申し訳ございません。
串間さん:いえいえ、よろしくお願いします。それから、ビューワの改良もお願いしたいです。今はGaze-Onを使ってスペシャルコンテンツとして絵図を公開していますが、データベース検索で辿り着いたページで直接、高精細画像をご覧いただけるようにしたいと考えています。
-現時点では、検索してヒットした詳細ページにリンクを設置すれば高精細画像を見られると思いますが、もう少しスマートにしたいですよね。3Dについても同様ですので、サイト制作会社にも相談してみますね(メモ)。
串間さん:あとは動画をYouTubeに登録してリンクを貼るのもよいのですが、動画ファイルそのものを登録できると嬉しいです。容量に問題があるなら、上限を設けてはいかがでしょうか。
-仰る通り、現在の方法を選んだのは容量の問題ですので、制限付きでよろしければ実現できるかもしれません。こちらも検討してみます(メモ)。
串間さん:もうひとつ、画像を一括で流し込む操作が少し難しい気がします。
-申し訳ございません、たくさんのお客様からご要望をいただいております。現在、仕様を検討中ですので、いましばらくお時間をいただければと存じます。
-では、今後の展望についてお聞かせください。
串間さん:市民の利活用を促すには、市民が参加できる環境を作ることも重要だと思います。いろいろ難しい点はありますが、何か仕掛けを考えたいです。
-東京都目黒区様の「目黒デジタルアーカイブ100」では、市民投稿でどんどんコンテンツが増えていますよ。逆に、市民からの声がきっかけで、廃校となる中学校の特集コーナーがデジタルアーカイブに増設されたくらいです。
串間さん:それはすごい、ぜひ当市もそうした潮流を作っていきたいです。デジタルアーカイブは生きもののように少しずつ進化していくものだと思っていますので、「常に未完成で、いつでも発展の余地がある」くらいがちょうどよい気がします。
-素晴らしいお考えですね。まさに仰る通りだと思います。
串間さん:実際に、毎年課題をリストアップして、サイト制作会社の方と相談しながら取捨選択しながら改善しています。でも、今日のお話で、I.B.MUSEUM SaaSの機能を引き出せばもっとシンプルに実現できることも多そうに思いました。
-はい、使いこなしていただけば、いろいろできることはあると思います。
串間さん:そのためには、事前に相談できる場があると嬉しいです。
-確かに、ぼんやりとしたイメージの段階でお話いただければ、機能面だけでなく先ほどの市民投稿のような事例もご紹介できますし。「壁打ち」の場という感じですよね。
串間さん:ぜひお願いしたいです。
-かしこまりました。弊社にとっても勉強になりますし、ぜひ実施しましょう(メモ)。
串間さん:まずは「デジタルアーカイブは楽しいツール」と思っていただけるように入り口となるコンテンツを構築しましたが、今後は幅広く深くデータを充実させる方向も含めて改善を重ねていきたいので、ぜひご協力をお願いできればと思います。
-こちらこそ、よろしくお願いいたします。本日はたくさんのヒントをいただき、誠にありがとうございました。
- Museum Profile
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大分市教育委員会文化財課
「大分市デジタルアーカイブ~おおいたの記憶」は、大分市歴史資料館、大分市美術館、大分市民図書館が参加する市民のためのデジタルアーカイブです。各館が所蔵する資料や指定文化財などを楽しみながら閲覧できる工夫が満載で、スペシャルコンテンツではまちの今昔の比較写真や史跡の解説動画、市の顔でもある磨崖仏の3Dデータなど、思わず見入るコーナーが多数。地元の方でも新しい学びに出会える「大分愛」あふれるサイトです。
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