ミュージアムインタビュー

vol.238取材年月:2026年8月わらべ館(鳥取県立童謡館・鳥取市立鳥取世界おもちゃ館)

バラバラだったデータをクラウドで統合したら、
館内業務も、お問い合わせ内容も、劇的に変わりました。
おもちゃ係長(専門員)  長嶺 泉子 さん
童謡係長(専門員)  平緒 佐和 さん
童謡係 専門員 須田 優花 さん

-こちらは、童謡・唱歌とおもちゃという複数のテーマをお持ちですね。

長嶺さん:はい、実は鳥取県立童謡館と鳥取市立鳥取世界おもちゃ館による複合施設でして、設置者も複数いるんですよ。

-博物館と図書館などによる複合施設はよく見かけるようになりましたが、県立と市立のミュージアムが合体した施設は非常に珍しいのでは。ということは、データベースも別々だったのでしょうか。

平緒さん:別々でした。私と須田が楽譜や教科書などを扱う童謡担当で、2種類のAccessのほか寄贈資料はExcelで管理していて、全部で5~6個のファイルに分かれていました。

長嶺さん:私はおもちゃの担当で、文献などの情報も含めてAccessで管理していました。

-いろいろなファイルがバラバラに存在していた、ということですね。I.B.MUSEUM SaaSのご導入は、それらを統合して一元管理するのが目的だったのでしょうか。

長嶺さん:はい、そうです。導入したのはコロナ禍のころですが、検討自体はもっと前から始めていて。有識者の方々からデータベース化の重要性をご指摘いただいて、御社の営業の方もずっと来てくださっていたのですが、なかなか予算がつかなくて。

平緒さん:音楽の教科書など資料もかなり集まってきたので、データベースを整備しつつ情報公開と活用促進のための環境づくりを目指そうということで、導入が決まったんです。

-なるほど。導入から短期間で公開を実現されましたが、そういう背景だったのですね。

平緒さん:準備が整ったところから順次公開する方針でしたからね。今も完成したとは言えないのですが、効果は出ていますよ。

-たとえば、どんな効果でしょう?

須田さん:たびたび利用いただいている図書館の方から「調べるのが楽になった」という声をいただいたり。以前はPDFのリストを公開していたのですが、データベースで直接検索できるようになりましたから。

-なるほど。須田さんが着任された当時は、システムは稼働していましたか?

須田さん:導入が決まった前後のタイミングでした。実は、私は以前からアルバイトで勤めていた館でI.B.MUSEUM SaaSを使っていたんですよ。

-それはご縁を感じますね!

須田さん:着任当初は「この資料の情報はどのExcelを見ればいいのだろう」と迷子になったりしましたが、クラウドに統合してからは本当に便利になりました。

-館内のお仕事でもお役に立っているようで安心しました。


-システムの操作などで気になる点などはありませんか?

須田さん:おもちゃ側と童謡側でルールが異なる関係で、共通項目でない項目で検索したり抽出したりする際に、少し不便なことでしょうか。といってすべてを共通項目にすると、それぞれ使わない項目がたくさん表示されてしまうので、ちょっと気になりますね。

-実は、先だってのリニューアルで、共通項目として設定されている項目も分野ごとに表示・非表示を切り替えられるようになりまして…。

須田さん:え、そうなんですか!

-はい、不要な項目は非表示にできます。伝達不足で申し訳ございません、サポート担当に伝えておきますね(メモ)。ほかにはいかがでしょう。

長嶺さん:ヘルプのページで検索しても、うまくヒットしないことが多いんです。キーワードの入れ方がよくないのかもしれませんが…。

-だとしても、困った時に開くページが使いにくいようではダメですね。こちらも宿題とさせてください(メモ)。

平緒さん:私からもよろしいですか? 「前回終了した場所」を表示することは可能でしょうか。

-データの登録中に別の画面に移ったり閉じたりした後、次に作業画面を開いた時に「さっきまで登録していた項目の場所」が表示される、という意味でしょうか。

平緒さん:まさにそれです。「どこまで登録していたんだっけ?」となることがよくありまして。

-リニューアルでは縦スクロールの範囲が大きくなりましたから、確かに欲しい機能ですよね。社内で検討してみます(メモ)。

平緒さん:それから動画についてなのですが、YouTubeのリンクを登録する形ではなく、MP4ファイルを直接登録できるようになると助かります。

-他館でも耳にするご要望ですが、容量の問題がありますので、追加ストレージを使うなどを使う前提なら可能かもしれません。こちらも開発側と議論してみます(メモ)。

平緒さん:リニューアルと言えば、画像登録の改善はありがたかったです。たくさんの画像をまとめてドラッグ&ドロップすれば、ファイル名順に並んで登録される機能は本当に便利ですよね。

-それは何よりでした。今後もコツコツ改善を続けていきます。


-さて、来館者は地元の子どもたちや家族連れが多いようですが、データベースはどんな方がご利用でしょうか。

平緒さん:たとえば、宮城県の学校から「校歌の楽譜の画像を提供してほしい」との依頼がありました。当館と直接ご縁があったわけではないのですが、作曲したのが鳥取の音楽家で、当館が楽譜を所蔵していたんです。公開から短期間でこうしたお問い合わせが複数あって、多くの方にご覧いただいていることを実感できました。

須田さん:学生の皆さんからのご相談内容も変わりましたよ。以前は「こういう資料を20件ほど抽出してほしい」というご依頼が中心だったのですが、データベースの公開後はまず検索してから見たい資料をIDでご指定してくださる方が多いです。

-手間が大幅に軽減されますよね。まさに公開の効果です。

平緒さん:ほかにも、たとえばお伽唱歌を調べている方から定期的にお問い合わせをいただくのですが、公開前はこちらで選んでお示ししていたのが、今ではご自身で検索してくださっているようです。

-皆さん使いこなしておられますね! 逆に課題はありますか?

長嶺さん:気になるのはジャンル分けですね。13種類の分類を設けたのですが、迷うことがよくあります。

-どんなことでしょう?

長嶺さん:たとえば、テレビ番組のキャラクターがあしらわれたバスのおもちゃの場合、「乗り物」に入れるべきか「マスコミ玩具」という分類を使うべきか、判断に困ったり。

-なるほど。全体を俯瞰して分類体系を見直すことは可能ですが、それに合わせてデータも調整するとなると、かなり大変な作業になりますね。

長嶺さん:そうなんです、なかなか時間を取れそうになくて。ほかにも、商品名が外国語表記の場合、資料名の付け方で迷うこともあります。商品名の“mammal of the sea”では、くじらのおもちゃとわかりづらい…みたいな。

-類義語辞書を登録して、どちらで検索してもヒットするように設定することはできますので、実施する際はお声掛けください。では、今後のビジョンなどは。

須田さん:館内の端末で一次資料の情報を公開したいと考えています。いまの公開ページとは別に作成できると聞きましたので。

-はい、その方法で対応できます。ページのイメージが固まったら、ぜひご相談ください。

須田さん:よろしくお願いします。

-かしこまりました。本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

 

Museum Profile
わらべ館(鳥取県立童謡館・鳥取市立鳥取世界おもちゃ館) 童謡や唱歌などの歴史や魅力を学べる鳥取県立童謡館と、内外のおもちゃ約2,000点を展示する鳥取市立鳥取世界おもちゃ館から成る複合文化施設です。かつての鳥取県立図書館の外観を一部復元した3階建ての館内は童謡の部屋とおもちゃの部屋で構成されており、9時から17時まで1時間おきに演奏するからくり時計や、遊びながら学べる体験型の展示が大人気。市のシンボル・久松山にほど近く、鳥取駅からのアクセスも便利なランドマークです。

〒680-0022
鳥取県鳥取市西町3丁目202
TEL: 0857-22-7070
ホームページ:https://warabe.or.jp/