ミュージアムインタビュー

vol.38取材年月:2007年6月八千代市立郷土博物館

何よりも大切なのは、データを最後まで完成すること。
情報を把握できてこそ、理想の博物館運営の入り口に立てると思います。
主任学芸員 主査 佐藤 誠さん
学芸補助員 石田 香さん
資料整理員 池田 孝子さん

-I.B.MUSEUMを導入いただいたのは、4年ほど前でしたよね。きっかけはどんなことだったんですか?

佐藤さん:その当時、私はまだ赴任していなかったので、詳しくは分かりません。当館は人員が少なくて、学芸専門のスタッフがいなかったと聞いています。学芸員が事務方を兼ねるような状態で、資料整理までなかなか手が回らなかったようですね。

-なるほど。それは大変だったんでしょうね

佐藤さん:ええ、収蔵庫にこもって整理するような時間が取れる状態ではなかったそうでして。そこで、当時の担当者が、早稲田さんに相談したようですね。

-なるほど。導入には入札などの手続きもあったと思いますが、決定の理由は?

佐藤さん:ずっと相談を乗っていただいてきた間柄ですからね。当館の要望をよくご理解くださった提案をいただいたと聞いていますよ。

-それは、ありがとうございます。導入までの経緯は理想的ではありますが…。実際に使い始めてからはいかがでしたか?

佐藤さん:導入の時から入力作業を担当している2人に聞いてみましょう。業務に携わる者として、どうですか?

石田さん:正直、最初は「これは大変だ」という感じでしたね。

池田さん:私もそうですね。「とても使いこなせないな」と思いました。

-え? 導入前はスムーズだったのに? 何か問題があったんですか?

-使いこなせないとお感じになったのは、なにが原因でしょう?

池田さん:まず、項目の多さですね。ちょうど今、民俗資料を入力しているんですが、欄が全部埋まらないんですよ。

-なるほど。ブランクが多くなってしまうんですね?

石田さん:ええ、本当は入力しなければいけないんですけどね。それより、ひとつの項目の欄が小さいのがちょっと不便かな、と。

-欄の見た目が小さいということですか? それとも、入力可能な文字数が少ないということでしょうか?

石田さん:文字数の制限です。文章を短く作り直したり、入らない分を備考欄に入力したり。その備考欄にも、文字数の制限がありますから…ちょっと大変です。

-(やっぱり…)ご不便をおかけしまして…。実は、今の「I.B.MUSEUM 2005」 では、制限の問題が解決しているんですよ…。

池田さん:そうなんですか! 羨ましいですね(笑)。

-(汗) 他に気になっていることはありますか?

池田さん:入力を進めていくと、「こういう項目があればいいのに」と思うことがあるんです。自分で項目を追加できればラクなのになあ、と。

-す…すみません、それも今のバージョンでは解決していまして…。

佐藤さん:それは残念と言うか、楽しみと言うか(笑)。もうすぐリースの更新時期が来るんですが、その時には載せてもらえるんですよね?

-もちろんです。「それ以外の部分をどうしたいか」という点も含めて、細かくお話を伺うことになると思います。

石田さん:それなら、もうひとつ、いいですか? 写真のことなんですが、サーバに保存している写真を別のフォルダに移し変えたら、I.B.MUSEUM上では表示されなくなってしまいますよね?

-ええ、基本的にはそうですね。

石田さん:私たち、棚ごとにフォルダを作っているので、棚を移動すると写真データも別のフォルダに移動することになるんです。こういう場合も、I.B.MUSEUM側で変わらず表示できるようにできないかな、と。

-分かりました、方法を考えてみますね。さて、ご不便がありつつもコツコツと入力を進めてこられたわけですが、いまはどれくらいの数が登録されたましたか?

佐藤さん:もうすぐ3000点くらいになりますね。民俗、歴史、自然の分野ではかなり進んだと思います。でも、これから、考古や文書という大きな壁があるんですよ。もちろん、頑張って継続していきますけどね。

-データ入力作業は、どちらの館も本当に苦労されています。これだけは作業をショートカットする方法がないですからね。こちらは、少ない人数でも堅実に、着実に進めておられるので、本当にすごいと思いますよ。ぜひ頑張ってください。

-というわけで、いろいろと課題があるとのお話を伺いましたが、I.B.MUSEUMは100点満点で何点くらいいただけますか?

石田さん:そうですね…。私自身が使いこなせていない部分もあるんですが、それでも点数を付けさせていただくなら、70点くらいかな?

池田さん:私も同じですね。ちゃんと使いこなしていない点を考慮して。

-今日は3つのご指摘をいただいて30点減点ですから、1ヶ所を改善すると10点ずつアップという計算になりますね。佐藤さんはいかがですか?

佐藤さん:I.B.MUSEUMについては、彼女たちの言うとおりだと思いますよ。ただ、ハードの保守については、これからいろいろと相談させて欲しい点がありますね。

-と仰いますと?

佐藤さん:ウチは写真を大量に出力することが多いので、プリンタの消耗が激しいんです。保守契約については、私のほうからいろいろと相談したいと思っています。

-かしこまりました。今後のシステムの運用についてはどのようにお考えですか?

佐藤さん:システムを更新したら、まずはデータを最後まで入力していくことが第一の目標ですね。職員が収蔵品の情報を隅々まで把握できるような状態を完成することが、理想の博物館運営の入り口になると思いますので。

-堅実なお考えですね。インターネットの公開についてはいかがですか?

佐藤さん:もちろん、トライしたいですね。来館者の方々向けの館内端末は完成していますので、そんなに遠い話ではないと思っていますよ。

-次期システムではご指摘いただいた課題をクリアして、入力のペースアップとWeb上の情報公開に貢献できるようにします。本日はありがとうございました。

<取材年月:2007年6月>

Museum Profile
八千代市立郷土博物館 八千代台、勝田台などの大規模住宅地を見守るように、静かに当地の資料を守り続ける千葉県八千代市のミュージアム。樹齢100年になるという大きなクスノキが地元のトレードマークとなっており、八千代市の現在の産業紹介はもちろん絵図、古文書、剥製、標本まで、地域の宝である貴重な展示物を総覧することができます。歴史や自然の勉強会、子ども歴史講座などを含め、まさに地域コンテンツのデータベースとして市民に親しまれる当館は、135席の学習室も完備。市民の知的好奇心や郷土愛を豊かに育む博物館です。

ホームページ : http://www.city.yachiyo.chiba.jp/sisetu/rekisi/rekisi.html
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