ミュージアムインタビュー

vol.142取材年月:2018年12月武蔵野美術大学 美術館・図書館

要素や機能を詰め込みすぎると、身動きが取れなくなる。
システムは、持続可能性が重要だと思います。
武蔵野美術大学 美術館・図書館 美術チームリーダー 平出 哲朗 さん
武蔵野美術大学 美術館・図書館 美術チーム 本岡 耕平 さん

-昨年、I.B.MUSEUMをご導入いただきましたが、遡ってお聞かせいただけますでしょうか。

平出さん:当館は1967年に「美術資料図書館」として開館しました。当時は、図書館の書籍と同じように学生のために美術資料を収集するという性格が強かったと聞いています。国立の美術館から来られた教授は、「作品」でなく「資料」と呼んでいることに驚かれていました。

-確かに、この呼び方は珍しいかも。以前、ほかの大学美術館で、作品には「教材」としての側面があるとお聞きしたことがあります。当時、作品情報はどのように管理されていのですか?

平出さん:紙のカードを使っていました。図書館の図書カードのような大きさのカードだったようですね。

本岡さん:それでは情報量が少なすぎることもあって、その後FileMakerでデータを作ったのだそうです。

-なるほど。紙からFileMakerへの移行は、きっと相当大変だったでしょうね。

本岡さん:しかも、当館の場合、学科の数だけ資料の種別がありますからね。椅子や陶磁器、ポスターや日本画などが混在していて…かなり厳しい作業だったはずです。

-では、FileMakerから専用の収蔵品管理システムへ移行された理由は?

平出さん:2011年にリニューアル開館したのがきっかけですね。

本岡さん:リニューアルの前年に、名称が「武蔵野美術大学 美術館・図書館」となりました。展示室も改修されて新しくなったこともあり、ホームページ上で作品情報公開も行おうという話が持ち上がりまして。他にもやりたいことをたくさん盛り込んで、システムを構築したようです。

-どんなことを盛り込んだのですか?

本岡さん:たとえば、当館の所蔵ポスターを管理するためにICタグを導入したり、学生への貸出などの際にはそのタグを読み込んでデータベースへ反映できるようにしたり…。

-なるほど。そして、そのシステムの老朽化に伴って、弊社にもお声がけいただいたわけですね。

本岡さん:そうですね。御社は本学のイメージライブラリーのシステムを長く手がけていただいている実績がありますし、本学が参画するアーカイブ中核拠点形成モデル事業でもクラウド版のシステムを利用させていただいていましたから。

-ありがとうございます、ひとつの仕事が次の仕事へとつながるだけの評価をいただくことは嬉しい限りです。では、この時のシステム更改では、何がポイントとなったのですか?

本岡さん:まず、館リニューアルの際に構築したシステムは、維持コストなども含めて「大きすぎたのではないか」という考えがありました。ですから、「次はもう少しコンパクトなものにしよう」と。

-なるほど。紙からFileMakerへと移り、大型システムも経験されて、最適なシステム規模を見極められたわけですね。

 


-さて、見積もり合わせの結果、I.B.MUSEUMをお選びいただいたのですが、こうしてお話をうかがうと、ひとつ疑問が生じます。

本岡さん:どんな点でしょう?

-先代のシステムが大規模でしっかりしたものであった分、弊社システムへの移行は大変な作業になったのではないか、と…。

本岡さん:システムの移行は、予想していたよりもずっとスムーズでした。担当SEの方のお人柄でしょうか、無理なところは明確に「無理」と仰ってくださったので、安心してポンポン投げてしまった感じです。

-それならよいのですが…。

本岡さん:むしろ私の方が、移行用のデータをお渡しするのが遅れたことがあったくらいで。「申し訳ないな」と思いながらお送りしたら、すぐ作業を完了してくださって驚きましたよ。

-ご満足いただけたのであればよかったです。では、実際にお使いになってのご感想はいかがですか?

本岡さん:デモ画面を見せていただいて、以前のものとずいぶん違うなという印象を持ちました。

-I.B.MUSEUMの最新バージョン「v12」の2件目のお客様に当たるんですよ。使いにくいですか…?

本岡さん:いえ、大丈夫ですよ。新しいものにはクラウド版で慣れていましたので、仮にシステムに少しクセがあったとしても、操作で吸収できる範囲だろうと思っていましたから。あとは、先行使用でデバッガー的な役割を果たすのも勉強になるかな…と(笑)。

-恐れ入ります(汗)。提供する業者側は「最新版が一番だ」と自信を持っていても、お使いになるお客様の視点で使いやすいとは限りませんので。ご配慮をありがとうございます。

本岡さん:使ってみたら特に不具合などはありませんでしたし、まったく問題なかったですね。

-…本当に?(笑)

本岡さん:はい(笑)。これから積極的にデータを増やしていきたいと思っています。

-ホッとしました。今後は、先代システムから移行されたデータ以外に、新しく追加されるということですか?

平出さん:そうなんです。前提として、今回、大学の仮想サーバにシステムを設置できたのが大きいですね。館内でサーバを管理しなくてもよくなりましたし、容量も確保できましたから。

本岡さん:機能の改修は必要になるかもしれませんが、今後はPDFや動画のファイルなども積極的に登録していきたいですね。特に、学生の卒業制作の優秀作品についてI.B Museum上でデータベース化を進めていきたいと考えています。

-それは素晴らしいですね。先輩たちの作品をひも解くことができるデータベースは、きっと大学の財産になると思います。そうそう、ホームページ上での作品データの公開もされましたが、デザインが良いですよね! 社内でも話題になったんですよ。

本岡さん:ありがとうございます。

平出さん:デザイナーの柳川智之さんは、本学の視覚伝達デザイン学科の卒業生なんですよ。

-卒業生の皆さんのリストは、きっと「人材の宝庫」状態なのでしょうね。優秀作品のデータベース、ますます楽しみになってきました。

 


-システム更改の話に戻りますが、特に注意されたことは?

本岡さん:やはり「大きく作りすぎないこと」でした。要素をたくさん組み込みすぎたり、機能を作りすぎたりすると、身動きが取れなくなりますからね。今回は、収蔵品管理に集中したシステムとなっています。

-変わる可能性があるところまでシステムにしない、ということですね。

本岡さん:そうです、その方が長く使えると思います。コスト面もありますが、なるべくシステムを長持ちさせたいですから、持続可能性を重視しました。もちろん、先ほどの優秀作品以外にも、データは増やしていきたいと思っているんですけどね。

-ほかにもいろいろと計画がおありなのですね。

本岡さん:ええ、今後は、作品として扱われていない「付随する資料」も分類を増やして登録していきたいんですよね。ポスターの原稿とか、私的な書簡とか、そうしたものまで一元的に管理できたらいいなあと思っています。

-作品の背景を知ることができる資料をアーカイブされるということですよね。ますます使う人に役立つデータベースになりそうですので、弊社もサポートさせていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

Museum Profile
武蔵野美術大学 美術館・図書館 美術館・博物館・図書館の機能を併せ持つ、知の複合施設。美術館では、3万点に及ぶポスターや400脚を超える椅子をはじめ、デザイン資料や美術作品のコレクションはまさに圧巻です。図書館は約31万冊の図書や学術雑誌・専門誌など約5,000タイトルを所蔵し、さらには民俗資料室やイメージライブラリーまで併設。学生や教員の頼れる情報拠点としての役割を果たしながら、活発な企画展など広く門戸を開き来館者を迎えている人気施設です。

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