ミュージアムインタビュー

vol.104取材年月:2014年10月金沢美術工芸大学 美術工芸研究所

大項目まで後から追加できる強みを活かして
新しい分野のデータの公開にも挑戦していきたいです。
主任学芸員 加藤 謙一さん
学芸補佐  幸田 美聡さん

-まずI.B.MUSEUM SaaSをご導入になったきっかけをお聞かせください。

加藤さん:数年前、全国博物館大会でプレゼンされましたよね。前の職場にいる頃にお聞きしたのですが、あれがきっかけですね。

-職場を移られてもご注目いただいたわけですか。ありがとうございます。ご導入から1か月でインターネット公開を実現されましたよね。私たちも驚いているんですよ。

加藤さん:ありがとうございます。

-このスピード公開の実現は、以前作っておられたという工芸品データベースがあったことが理由なのでしょうか。

加藤さん:いえ、あれは研究目的の1年限定運用で、クローズドなユーザ向けに公開していたものなんです

-え、別のデータなんですか?

加藤さん:ええ、本学の収蔵作品データです。もともとFileMakerに登録して運用していたものなんですよ。

-ということは、専用システムは今回が初めてなんですか!でも、公開されたデータは2千点近くありますよね?それを1か月で…。

加藤さん:実は、I.B.MUSEUM SaaSの体験版のおかげなんですよ。

-と仰いますと?

加藤さん:体験版とは言え、ほぼすべての機能が使えますよね。実は、導入の前にかなり本格的に登録作業を行っていたんです。正式な契約な時点では、すでに準備がほぼ整った状態で。

-それは凄い…。それにしても早いですよ。

加藤さん:体験版のIDを発行していただいた後、忙しくてアクセスできない期間もあったのですが、御社のご担当の方がフォローしてくださったんですよ。ね?

幸田さん:ええ。体験版の項目体系をFileMakerに合わせる作業をしたのですが、その時にいろいろと手伝っていただきました。

-なるほど。検討時に自分のデータを使うと、お試し操作でも実感が違いますものね。これは全国の館の皆さんのご参考になると思います。

-体験版で作った項目体系は、今もご活用になっているんですか?

幸田さん:大枠としては今も使っていますが、細かい部分で追加や変更はありましたね。

-項目設定の操作感はいかがでしたか? 頻繁に触れる部分ではないので、慣れる機会も少ないかと思いますが。

幸田さん:項目の追加・変更作業自体は、それほど難しくはないと思いますよ。ただ、ほかの機能の細かい操作で少し気になるところはあったかな。

-どんな部分でしょう?

幸田さん:自動的に入力される項目で、手入力で修正できないものがありますよね。あれが少し不便に感じました。

-具体的には?

幸田さん:そうですね…たとえば「現所在」だったかな? 展示や貸出で保管場所を移動すると、位置の情報が自動的に更新されますよね。でも、本格的な移動ではなくて「ちょっと別の棚に動かす」なんてこともありますからね。そういう時に少し困るかな、と。

-なるほど。展示や貸出で何十点もまとまって動かす時、いちいち手作業で大量の入力作業を強いられずに済むように、所在場所データを自動的に変更する機能を付けたのですが、少し検討が必要ですね(メモ)。

加藤さん:こうしてお聞きすると、よく考えて作ってあることがわかりますね。

-ありがとうございます。システムにおける項目は、ただの入力欄じゃなくて、データの性質や意味がありますからね。

加藤さん:データベースに詳しくないと気づかない部分ですよね。

-それをもっと直感的にお伝えできるといいんですけどね。え〜と、この場合は「棚」や「収納場所」といった別の項目を作って、そこに手入力できるようにしたらどうだろう…。

幸田さん:あ、それなら大丈夫そうな気がしますね。

-ちょっと検討してみましょう。ほかに気になった点は?

幸田さん:基本情報以外で「何ができるのか」については、ちょっと分かりにくいかな?

-詳しくお聞かせください。

幸田さん: Excelで作ってあった過去の貸出の履歴を、途中まで登録していたのですが、ご担当の方から「資料利用」を使えばかなり短時間でできるとお聞きして、やり直したことがあるんです。

-それは説明不足で申し訳ありませんでした。基本機能の説明に時間をかけることが多いので、中級編・上級編の操作説明が必要ですね(メモ)。

加藤さん:あと、不満ではなくてリクエストがあるのですが、いいですか?

-ぜひお願いします。

加藤さん:今回のシステム導入では、先ほど話題にあがった外部への情報公開も大きな柱でしてね。教育目的での学生への公開、市民への還元としての公開を目指すという観点からすると、できるだけ分かりやすくしたいんですよね。

-なるほど。

加藤さん:そこで、作品の詳細情報に表示されている項目がリンクになっていて、クリックするとその項目で検索した一覧が表示されるといいんじゃないかな、と。より多くの作品に触れてもらえますから。

-それ、いいですね! ぜひやってみたいです(メモ)。

幸田さん:公開と言えば、設定ページで少し気になることが。

-ご遠慮なく仰ってください。

幸田さん:「どの資料を公開するか」をチェックする画面がありますが、画像を何点か登録している場合、どの画像を公開用に使うかについては、資料情報に戻らないといけませんよね。これが少し面倒かな、と。

-なるほど。そもそも「画像の公開可否だけは違う画面で操作する」ということは、説明がないと分からないかもしれませんね(メモ)。

加藤さん:公開設定画面の中でサムネイル画像を表示して、チェックできるようにしては?

-それは分かりやすそうですね。検討してみますね(メモ)。

-しっかり使いこなしてくださっているだけに、ご指摘がとても具体的で参考になります。さて、公開後の効果はいかがでしょうか。

加藤さん:公開を始めた時には新聞でも報道してもらいましたし、学生も見てくれているんじゃないかと思います。Googleのアクセス解析も見ると、海外からのアクセスもあるようですね。フランスとか、スウェーデンとか。

-それは素晴らしい!順風満帆といった感じですが、では今後の目標などをお聞かせいただけますか。

加藤さん:約4300点の所蔵品のうち、現在1947点を公開していますが、まず今年度中に全点を公開したいと思っています。あとは画像をなるべく多くしていくということでしょうか。

-すごいスピードですね。管理システムの方はどうでしょうか。

幸田さん:今はまだ過去の情報がFileMaker上にあるので、2系統の情報を併用するような形ですが、いずれはI.B.MUSEUM SaaSに一本化したいですね。

加藤さん:それと、私たちは毎年一定数の学生作品を買い上げているのですが、そうした新しい分野の情報も加えていきたいですね。「大分類を後から足せる」というI.B.MUSEUM SaaSの強みが活きそうです。

-しっかりしたビジョンと着実な歩み、本当に素晴らしいと思います。弊社も頑張りますので、ぜひ実現させてください。本日はご多忙の中、ありがとうございました。

<取材年月:2014年10月>
Museum Profile
金沢美術工芸大学 美術工芸研究所 終戦直後の1946年に創立され、質の高い研究心と創造力を備える人材を多数輩出してきた名門・金沢美術工芸大学。アートと職人技術の薫りも豊かな文化都市・金沢の屋台骨のひとつです。学内の美術工芸研究所では、美術・工芸・デザインに関する資料4,300点を管理。展示室では陶磁器作品を中心とする所蔵品の展示を行っており、一般にも公開されています(予約制)。インタビュー内のデータベースは下記ホームページで利用できますので、ぜひご覧ください。
ホームページ : http://www.kanazawa-bidai.ac.jp/
〒920-8656 石川県金沢市小立野5-11-1
TEL:076-262-3531