ミュージアムインタビュー

vol.12取材年月:2006年3月能美市立博物館

システム導入は出発点、そのあと何をしたいかが大切です。
そして、長く付き合うわけですから、選ぶポイントは「人」ですね。
能美市教育委員会 能美市立博物館
学芸員 係長 山内 千之さん

-能美市立博物館さんは、少数精鋭で運営しておられますよね。

山内さん:そうですね、職員5人で頑張ってます。

-新たに情報管理システムを導入しようとお考えになった理由は?

山内さん:収蔵品の情報は各人が頭の中で整理できているんですが、逆に言えば「その人がいなくなると何もできなくなる」という恐怖感がありましてね。館のリニューアルがちょうどいいタイミングでした。

-なるほど。導入にあたって、システムを比較検討されました?

山内さん:実を言いますと、最初は大手メーカーのソフトの採用する予定だったんですよ。早稲田さんにデモを見せていただいて、逆転でI.B.MUSEUMに決めました。

-それはありがたい話なんですが・・・なぜ当社製品に?

山内さん:使いやすそうでしたし、機能の豊富さでしたし・・・。でも、決め手は「人」でしたね。

-「人」と仰いますと?

山内さん:早稲田さんのスタッフのことですよ(笑)。皆さん、親身に相談に乗ってくれましてね。最後は「これからの時代、こういうソフトじゃなきゃいけないんです」という内容の資料を作って、役所内を説得して回りましたよ(笑)。社にお帰りになったら、皆さんに宜しくお伝えくださいね。

-そうだったんですか。必ず伝えます・・・(グッときました・・・)。

 

-先ほど来館者向け端末を拝見したんですが、地域情報がとても充実しているんですね。

山内さん:そう言っていただけると嬉しいです。ありがとうございます。

-地元の民話がデジタル紙芝居のようになっていたり、地域の昔の写真が検索できたり。これ、ご来館になる方々にも好評でしょう?

山内さん:ええ、SEさんにもずいぶん協力していただいたおかげで、皆さんに使っていただいていますよ。当館は地域の博物館ですから、地域の情報にはこだわりを持ちたいな、と。特に子供たちが楽しそうに触っている姿を見ると、本当に嬉しく思います。

-それは素晴らしい。学習に直接的に役立っているなら、I.B.MUSEUM大活躍と思っていいわけですね。

山内さん:そうですね・・・う~ん、まだまだな点もありますけどね。

-あれ?(笑) 何かご不満が?

山内さん:いえ、うちがまだまだということで。職員が多忙で、データ入力作業が追いついていないのが実情なんです。システム導入は出発点だと思っていますので、これからなんですけどね。

-いや、公平に見て、少人数で大奮闘しておられると思いますよ。

山内さん:ありがとうございます(笑)。でも、今度、古墳をテーマにした大規模な郷土博物館を作るという構想があるらしいので、その時までにはデータを整備しないと。能美市は、北陸でもっとも古墳が多いエリアのひとつなので、もっと頑張らないといけないんですよね。

-古墳博物館ですか! それ、ぜひ最新ニュースを教えてください。いや、仕事抜きで(実は日本史がマイブーム中)。

-I.B.MUSEUMは主に来館者向け端末にご活用いただいているわけですが、他にお気に召した機能はありますか?

山内さん:ええ、いろいろありますけど、特に別のファイルを関連付けて登録できる機能は、本当に助かっていますよ。私は、資料などは1ファイルにまとめずに、たくさんのファイルを作って管理するタイプなので、後々、きっと役に立つと思うんですよね。

-関連ファイル機能は、喜んでいただけるケースが多いですよ。では、恒例の満足度調査ですが、I.B.MUSEUMは100点満点で何点くらいいただけますか?

山内さん:ほとんど減点は見つかりませんけど、あえて95点とさせていただきます。

-高得点、ありがとうございます。今後の宿題として、減点内容を教えてください。

山内さん:項目によっては長い文章を入力したいところがあるのですが、文字数の制限で入れられないところがあるんですよね。それだけが不満と言えば不満ですね。

-実は、そのご要望、結構たくさんいただきましてね。I.B.MUSEUM 2005では改善したんですよ。すみません、間に合わなくて。

山内さん:あれ? そうなんですか? じゃあバージョンアップを考えないとなあ。

-本日は最新資料もお持ちしております、ここに(笑)。他にご要望はありませんか?

山内さん:そうですね・・・早稲田さんが東京の会社ということが不満かな?(笑) 北陸に拠点をお作りになる予定はないんですか?

-う・・・頑張ります(笑)。では最後に、これからシステム導入を考えられる方へのアドバイスをお願いします。

山内さん:私たちも痛感しましたが、情報管理システムはあくまで「精度の高い管理への出発点」に過ぎなくて、紙の資料カードから形式が変わるだけなんですよ、ということですね。本質的には、システムに入力する前の情報が問題となるわけで。

-「パソコンを買うと能力が高くなる気がする」という、アレですね。

山内さん:そうそう(笑)。大切なのは、事前の情報整備なんです。「紙から情報システムに移して、それをどう活用していくのか」という大きな枠でお考えになるとよいと思いますよ。

-当社も肝に銘じなければなりませんね。本日はご多忙の中、ありがとうございました。古墳博物館のニュースがあったら、ご一報くださいね。

<取材年月:2006年3月>

 

Museum Profile
能美市立博物館 もともと辰口町立でしたが、市町村合併により能美市立博物館に。古墳から発掘された土器、地元を流れる手取川の自然が展示され、来館者向け端末では地元の昔話がデジタル紙芝居で見られるなど、地域にこだわった博物館です。地域の息吹を感じる展示品がいっぱいで、地元の人たちが参加するイベントも豊富。町の博物館の理想的な姿を感じました。

ホームページ : http://www.city.nomi.ishikawa.jp/cgi-bin/odb-get.exe
〒923-1246 石川県能美市倉重町戊80番地
TEL:0761-52-8050