ミュージアムインタビュー

vol.23取材年月:2006年9月松山市立子規記念博物館

システムで重要なのは、中身のデータ。
どこまで揃うかで、稼働状況は変わるはずです。
主査(学芸担当) 大石 和可子さん
学芸員 上田 一樹さん

-子規記念博物館さんには、随分長くI.B.MUSEUMをご愛用いただいてますね。ありがとうございます。

大石さん:当時の資料を見ると、導入したのは平成9年ですね。もう10年近く前のことになるんですね

-導入当時から現在までに、一度、リニューアルを挟んでいますよね?

大石さん:ええ、4年ほど前ですね。私は、その頃から担当になったんですよ。

上田さん:私が当館に来たのは、3年前のことです。

-つまり、お二方とも途中からのご担当ということですが、導入当時のエピソードなどはお聞きになっていますか?

大石さん:導入と言っても、段階があったそうです。当時は、データベース・システムが、いまほどポピュラーではありませんでしたから、最初は準備段階という感じで。本格的に稼働段階へと移行し始めたのは、リニューアルを行った頃なんですよ。

上田さん:登録データが完成したのも、平成15年頃のことですしね。ちょうど、私が来た前後ですね。

-なるほど。データがきちんと揃わないと、作品検索機能なども活きませんよね。

大石さん:そうなんです。中身のデータの充実度は、稼働状況にそのまま影響しますからね。データ登録の作業は、かなり頑張ったんですよ、こう見えても(笑)。

-データ整備には、どの館も苦しんでおられますよね。

大石さん:作業自体が大変なこともありますが、博物館のデータって、「ピンと来る人」が入力しないと難しい面があるんです。間違いに気づくだけの知識と経験が必要だったりしますから。

上田さん:私、ここに来る前は図書館で働いていたんですけど、博物館の情報管理は図書館より気を遣いますよ。より専門的な知識が必要ですし、データ項目も複雑ですから、入力もより慎重にならざるを得ないんですよね。

-ふむふむ。各館のご苦労が忍ばれるお話ですよね・・・。

-先ほどのお話なのですが、登録データの整備はミュージアム共通の課題ですよね。私たちがもっとサポートできればいいのですが・・・。

上田さん:早稲田さんは、よくやってくださっていると思いますけど。

大石さん:そうそう。中のデータまでシステム開発会社にお願いするのは、酷というものでしょう(笑)。

-恐れ入ります・・・。

大石さん:あれはいつだったか、MOからの画像が読み込めない時に電話したら、すぐ対応策を指示していただけましたし。近くにお越しの時も、「その後、どうですか?」と私たちの様子を見に寄ってくださることもありますし、早稲田さんにはいろいろ感謝してますよ。

-そう言っていただけると、報われます。(褒めていただいたタイミングを逃さず!)では、恒例の質問を。I.B.MUSEUMの機能や当社の対応を100点満点で言うとどのくらいでしょうか?

大石さん:(上田さんを見ながら)どうかな?

上田さん:そうですねえ・・・95点くらいかな?

-高得点です。ありがとうございます。でも、減点の5点は、他にも何か問題点が・・・?

上田さん:いえ、使い勝手の面での細かいことなんですけどね。構いませんか?

-ぜひお聞かせください。

上田さん:例えば、特殊な読み方の人名は、フリガナを手入力するじゃないですか。その時、位置がズレてしまったりするんです。こういう細かい部分も、もっと使いやすくならないかなあ、と。

-なるほど。仮名変換機能で表示できない、いわゆる難読系のお話ですね。

上田さん:仮名変換機能は便利ですし、あまりに特殊な読み方を正確に表記するのは無理だと自分でも思うんですけどね(笑)。ご参考になれば。

-ご指摘、ありがとうございます。社に戻ったら、ちょっと検証してみますね。

-使用年数から考えると、そろそろ次のリニューアルを検討される時期ですね。何か新しいことはお考えですか?

上田さん:ひとつ、考えていることがあります。職員がI.B.MUSEUMに慣れたことはいいんですが、検索した後の資料は「紙のカード」を見ることがまだ多いようでして。

-ほお? それは聞き捨てなりませんね(笑)。

上田さん:これまでの業務の蓄積もありますから仕方のないことですが、早くみんながシステム上で仕事を完結できるようにしたいんです。何か方法はありますかね?

-いまはI.B.MUSEUMを使える端末が限られていますよね? 今度のバージョンはWebブラウザがあればどのパソコンでも使えるようになりますから、いまよりさらに親しんでいただけると思いますよ。

上田さん:普通のブラウザがあればいいんですか? それならどの机でも作業ができるようになりますよね。

大石さん:なるほど。もっと便利になりますね。

-詳しくは、また改めまして(笑)。さて、これからシステムを導入される館の皆さんに、先輩としてのアドバイスをお聞かせください。

大石さん:当館の経験から言えば、「スタートの時から完璧を求めない」というのが、成功のポイントじゃないでしょうか。その時は良いと思っていても、後で振り返ると「なんでこんな方法にしたんだろう?」と思うことがありますし。

-段階を踏むことに備えて柔軟性を持たせておく、ということですね。

大石さん:そうです。資料番号の採番方法ひとつとっても、今のベストと後のベストでは違うことがあるんです。きっといろいろと変化していきますから、ガチガチに考えないことですね。

上田さん:それから、「入力はぜひ頑張ってくださいね」と(笑)。

-どちらも、多数の館で耳にすることです。次は、リニューアルに向けての提案をお持ちしますね。本日はご協力いただきまして、ありがとうございました。

<取材年月:2006年9月>

Museum Profile
松山市立子規記念博物館 「夏休み 来るべき君を 待ちまうけ」という季節感あふれる俳句が正面の懸垂幕でお出迎え。これは、天野祐吉館長が今月の俳句として選ばれたものだそうです。観光客で賑わう道後温泉近くにあり、明治の文学者、正岡子規の世界を通して、より多くの人びとが松山に親しみ、松山の伝統文化や文学についての認識と理解を深め、新しい文化の創造に役立てることを目的として開設された文学系の博物館。「はがき歌」全国コンテストなどの個性的なイベントで親しまれています。

ホームページ : http://www.city.matsuyama.ehime.jp/sikihaku/
(松山市のホームページから入れます)
〒790-0857 愛媛県松山市道後公園1-30
TEL:089-931-5566