ミュージアムインタビュー

vol.3取材年月:2005年11月徳島県立文学書道館

開館時の最も多忙な時期に、I.B.MUSEUMを導入。
文学と書道の融合という館の特性にもフィットしています。
事業部主任 竹内 紀子さん
司書 櫻井 朝子さん

-開館と同時にI.B.MUSEUMを導入いただきましたよね。ご指名をいただき、その節はありがとうございました。

竹内さん:いえいえ……と言いたいところなのですが、実は違うんですよ。私たちが選んだのではなくて……。

-と仰いますと?

竹内さん:正直に申しますと、県ですでに決まっていたんです(笑)。近隣の博物館でたくさん利用されていましたから、現場としても「スタンダードなシステムを使うんだな」という理解でした。

-なるほど、そうだったんですか。当時はどんな状態だったのでしょう?

竹内さん:とにかく忙しかったですねえ。私はもともと教員でしたし、開館準備の時にこの仕事に異動になって、右も左も判らない状態でした。当時は部屋をどう作るかも決まっていない状態でしたからね。

-「文学と書道の融合」というテーマの博物館も、珍しいですよね。当社は文化施設には詳しいつもりなのですが、ちょっと記憶にないくらい。

竹内さん:全国でも例がないでしょうね。逆に言えば、参考にできる事例がないということなんですよ。データベース項目の建て方ひとつ判らない私が、まして事例のない情報システムの構築なんて……ねえ?(笑)

-想像以上に大変だったのですね……ご苦労が忍ばれます。

-システムを導入する際、どんな点に気を遣われましたか?

竹内さん:素人集団でしたので、思いつくことはすべてお願いするという感じでしたね。まだ具体的に業務が始まっていない段階でしたし、お手本もなかったですからね。いまはちょっと「作り過ぎた」かな? とも思っているんですけど。

-導入前の期待に対して、実際はどうでしたか? 現場では主に櫻井さんが使用しておられるとのことですが、100点満点での点数は?

櫻井さん:そうですねえ、70~80点くらいだと思います。

-ちょうどいまも、当社で改善のための修正作業を進めておりますが、足りない点数分はそのあたりでしょうか?

櫻井さん:そうですね。一度エラーになると、それまで入力していた内容が消えてしまったりするんです。あと、一覧の入力途中で、新規入力を割り込ませられなかったりとか。いくつかの点で、使い勝手の向上をお願いしているところなんですよ。

竹内さん:そう言えば、「展示中」という表示が一覧表に出ると便利ですよね。開館前は未経験者が仕様を決めたので、想定が甘かったのかなあ。

-そんなことはないですよ。当社側がもっとアドバイスを差し上げればいい話ですので。今後は、積極的に提案させていただきますね。

-開館前に仕様を決められたという点では、いま公開中のホームページも同様ですか?

竹内さん:ええ、ホームページに公開している収蔵品情報は、I.B.MUSEUMの登録情報ですからね。その意味では、同じですね。

-サイトの閲覧者という視点で見ると、検索項目は手入力ではなく、選択式のほうが良かったかもしれませんね。そのあたりも、当社でお手伝いできれば良かったと反省しているのですが。

竹内さん:そうなんでしょうけど、実際はなかなか……。正直、そこまで手が回らないんですよね。一人が何役もこなすという状態は、開館後のいまも同じですし。

-ご参考までに、ホームページは、近隣の館と合同サイトをご検討になってはいかがでしょう? サイトをメンテナンスするスタッフの人数が少なく済みますし。実際に、高松市はそうされていますよ。

竹内さん:それは思いつきませんでした。いい方法ですね。

-館内の展示方法や来館者サービスについては、何か新しいアイデアをお持ちですか?

竹内さん:文学館で難しいのは、絵画や彫刻などと違って、読んでいただかないと価値が伝わりにくい点です。それを解決するために、あらすじやダイジェストを音声にまとめるなど、判りやすい展示を工夫したいと考えています。

-それは面白いですね。最近はICタグなども発展していますから、応用できるのでは? 来館者に携帯端末を持っていただいて、作品にICタグを入れておけば、本のあらすじが携帯端末から聞こえるというようなサービスも可能ですよ。

竹内さん:そうですね。I.B.MUSEUMに情報をあらかじめ入れておけばいいんですよね? できそうな気がしてきました。時間さえあれば……ですけどね。

-収蔵品管理システムは、大切な品をしっかり管理するのが第一義ですが、それと同時に「スタッフの方々の手を空ける」ことも重要な役割です。I.B.MUSEUMがもっと進化して「時間ができる」システムになるよう、今後もがんばります。本日はどうもありがとうございました。

<取材年月:2005 年11月>

Museum Profile
徳島県立文学書道館 全国でも珍しい「文学と書道の融合」というオリジナルテーマを掲げた博物館。一面にかかった掛け軸の書に圧倒され、悠久なる時の流れを超えてきた書物から「和の心」を呼び覚まされる…。瀬戸内寂聴氏が館長をお務めになるだけに、収蔵品の数々は充実のひとこと。各種展示や講座の開催も活発な、自他ともに認める地元文化の中心地です。

ホームページ : http://www.bungakushodo.jp/
〒770-0807 徳島県徳島市中前川町2丁目22-1
TEL:088-625-7485