ミュージアムインタビュー

vol.160取材年月:2020年1月高知県立坂本龍馬記念館

データベースと、音声ガイドアプリ。
企画展の際など、いろいろなアイデアが広がりそうです。
学芸専門員 河村 章代 さん
主任学芸員 亀尾 美香 さん

-リニューアル前に一度お邪魔しましたが、あの時はI.B.MUSEUM SaaS導入のご検討中でしたね。

亀尾さん:そうですね。新館建設、本館改修のための仮事務所時代に導入しましたので、もう3年ほど前ですね。

-仮事務所時代は、資料はどこに保管されていたんですか?

亀尾さん:主に県立歴史民俗資料館さんにご協力いただき、収蔵庫をお借りする形で乗り越えました。

-システム導入前、資料情報はどのような状態だったのですか?

亀尾さん:書簡などが600点ほど、それに目録を出版した土佐藩邸資料が574点と、資料の数そのものはさほど多くないので、紙台帳で管理していました。

-「龍馬の書簡が新たに発見された」という報道を見た記憶がありますが、注目度の高い資料が多そうです。

亀尾さん:仰る通り、龍馬直筆の手紙や写真などは、報道関係者からの問い合わせも多いですよ。

-そうした対応だけも大変かと思いますが、数が多くない中でI.B.MUSEUM SaaSを導入された理由は?

亀尾さん:このデジタル時代ですからね。紙台帳ではそろそろ限界かな…ということで。

-現在の運用状況は?

亀尾さん:まだまだ画像が登録しきれていませんので、本当に便利さを実感するのはこれからだと思います。

-スタッフからは「かなりしっかり登録されている」という報告がありましたが、館内の視点ではまだ不十分なんですね。

亀尾さん:手元にある画像データについてはほぼ登録できましたが、アナログのフィルムなどはまだデジタルデータ化できていないものもありますから。ちょっと空いた時間などに整備しているのですが、もう少しかかりそうですね。

-同じように、少しずつデータを整えておられる館は多いですよ。使いにくい部分などはございませんか?

亀尾さん:使いにくいわけではないのですが、項目を変更しようとして作業が止まってしまったことがありました。

-それはいけませんね。詳しくお聞かせください。

 


-項目設定に関する機能は、日常的に使う部分ではないので、ちょっと取っ付きにくかったでしょうか。

亀尾さん:そうなんです。それで担当の方にお電話したのですが、ちょうどご出張で。「では、また今度」と思ったのですが、その後に忙しくなってしまって…。

-それは申し訳ございませんでした。システムの操作についてであれば、担当者でなくても分かりますので、電話に出た者に仰っていただければ大丈夫です。

亀尾さん:そうなんですか、ちょっと遠慮してしまいました(笑)。では、次回からは。

-ちなみに、いま現在は、どんな機能を頻繁にお使いですか?

河村さん:やはり検索機能ですね。必要な情報がすぐに見つかるのが紙台帳との一番の違いだと思いますし。

-台帳には台帳のよさがあるんですけどね。

河村さん:仰る通りですね。紙台帳の、あの「指の感覚」にも独特の味わいがあったので、ちょっと寂しいですかね(笑)。

-あ、「指の感覚」ってよい言葉ですね! (メモして花丸を付けながら)感覚的に理解できますが、ぜひもう少し具体的にお話しいただけますか?

河村さん:私は県立美術館にいたのですが、当時から、よく使う資料の台帳は「手触りのようなもの」で何となく分かったりして(笑)。

-おぉ〜、プロですね!

河村さん:(県美の頃は)あとは「ここの記述はAさんの字ね」「こっちはBさんね」とか。紙台帳は五十音順のファイルでしたが、実際の作品の保存場所は感覚で覚えたり。「あの資料は収蔵庫の何番目の棚のどこの段にある」といった感じで。

-はぇ~、まさに職人。コンピュータもかなわないのでは!

河村さん:いえいえ、そこまでは(笑)。でも、そういう感覚も大事にしたいですよね。

-いま流行りの「AIと人間」的な話題ですよね。弊社も肝に銘じます。では、現在は紙の台帳とシステムを併用しておられるのでしょうか。

亀尾さん:紙の台帳は残してはいますが、日常の業務では使ってはいません。

-紙の台帳を残しておられるなら、処分なさらないでくださいね。ぜひ長く保管してください。

亀尾さん:なぜですか?

-東日本大震災のように、停電してデータベースにアクセスできなくなった時の助けになるんです。二重管理になると混乱しますので、マスターデータはシステムに置いて、帳票作成機能で台帳を出力するとよいかと。

亀尾さん:なるほど、参考にしますね。

-ぜひぜひ。

亀尾さん:ところで、検索機能で質問があるのですが。以前、「木戸孝允」の資料を探していてもヒットせず、「桂小五郎」で検索すると見つかったことがあるんです。これ、両方引っかかるようにできないでしょうか。

-類義語の辞書登録機能を使うとヒットするようになりますよ。(システムの画面を開いて)この画面で、仕事上で出てきそうな類義語を登録しておくんです。たとえば坂本龍馬の「龍」の字も新旧で登録しておくこともできますよ。

河村さん:あ、これは便利なんじゃない?

亀尾さん:山内容堂と山内豊信とか、特に人名の管理には役立ちそうです。

-操作説明が不十分のようです。大変申し訳ございません。

亀尾さん:とんでもないです。でも、もっと教われば便利に使えるかも…。

-高知県はユーザー様が多いのですが、実は、今回の出張で訪問した他館の方から「近隣館合同でもいいので実施して欲しい」というご要望もいただいたばかりですので、改めて説明会を企画してみますね。

 


-さて、画像登録が順調に進んだとすると、その後は外部公開ですよね。

亀尾さん:そうですね。資料価値や保存・継承の重要性を伝えるために情報公開は進めたいのですが、その一方では済ませるべきことがたくさんありますので、準備が必要です。

河村さん:権利関係もありますしね。

-I.B.MUSEUM SaaSで公開する拡大画像には電子透かしを入れるなど、ある程度の範囲ではありますが、無秩序な拡散への抑止策も講じております。でも、もしかしたら、アプリから先にトライされた方がよいかもしれません。

亀尾さん:「ポケット学芸員」ですよね(笑)。

-ご存知でしたか(笑)。

河村さん:県立美術館さんや横山隆一記念まんが館さんでも導入されていますよね。

-はい。横山隆一記念まんが館様は、タイ語のガイドも運営しておられます。高知県立美術館様は、地元の高校生がナレーションを担当しているんですよ。どちらもよい出来です。

亀尾さん:いろいろアイデアが広がりそうですよね。当館なら、企画展の時にプロの声優さんを起用するとか。

-歴史ファンだけでなく、アニメや声優のファンの間でも話題になりそうですよね。近隣の館でまとまってご導入いただけば、ミュージアム巡りにつながりますよ。

亀尾さん:なるほど、それも面白かもしれませんね。

河村さん:いずれ、そちらの方面でもご相談するかもしれませんので、その際はよろしくお願いしますね。

-こちらこそ。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

Museum Profile
高知県立坂本龍馬記念館 近代日本の黎明期に生涯を捧げた坂本龍馬の業績を顕彰するために1991年11月に開館したミュージアム。明治維新150周年にあたる2018年4月には、新館もオープンしました。「龍馬と遊ぶ」をテーマとする本館では映像やパネルで龍馬の足跡を体感でき、「龍馬と心通わす」がテーマの新館では龍馬の手紙や掛け軸などを見学できます。土佐の志士たちが太平洋を通じて「世界」を見たこの場所は、今日も多くの龍馬ファンたちでにぎわっています。

ホームページ : https://ryoma-kinenkan.jp/
〒781-0262 高知市浦戸城山830番地
TEL.088-841-0001