ミュージアムリサーチャー

ミュージアムレポート

文化財や博物館資料で使われるデータベースシステムで検索する場合、キーワードや分類を入れる方法が一般的です。これはI.B.MUSEUMSaaSの情報公開機能でも同様で、特に珍しいわけでもありません。
しかし、そう感じるのは私たちが博物館関係者だからかもしれません。一般の方々にもっと興味を持ってもらえるように、使いやすい環境を提供したい。そんな思いが伝わってくる「やさしい検索ページ」を2例ご紹介します。

今回紹介するその1つめ、川崎市高津区が運営する地域資料のデータベースサイト「高津区ふるさとアーカイブ」では、I.B.MUSEUMSaaSで生成した情報公開ページに、とてもわかりやすい水先案内用のカバーページが設けられています。文字通り本のカバーのように「かぶせる」ことで、誰にでも触りやすい、また多くの人の関心を引くデジタルミュージアムサイトを構築されています。
一見すると、システムの自動生成機能を使っているとは分かりません。一から開発したかのような見栄えで、いかにも使い心地が良さそうな印象がなかなか秀逸ですね。
I.B.MUSEUMSaaSによる情報公開ページの検索トップ画面は、❶のようなデザインとなっています。ここから先の資料情報ページがI.B.MUSEUMSaaSのサービス範囲内となりますが、入り口をより親しみやすく、使いやすそうな印象で「塗り替える」と…。❶文化財や博物館資料のデータベースでは、キーワードや分類を入力・選択して検索するのが一般的です。I.B.MUSEUMSaaSの情報公開機能でもセオリー通りの検索インターフェイスを提供していますが、一般の方々には分かりにくいかもしれません。


そこで区で加えられたのが、❷のようなカバーページです。画面左上の「テーマと時代から写真を見る」のページでは…


❸の通り横軸に時代、縦軸にテーマが表示されていて、該当部分をクリックするだけで先に進めるようになっています。見やすいメニューから、たとえば「テーマと時代から写真を見る」を選んで❸の画面で「戦前・戦中」で「街道の町並み」をクリックすると…


❹の検索結果へと進みます。
ここでご注目いただきたいのは、検索条件が「テーマは街道の町並み、年代は戦前・戦中」とすでに入力・選択された状態になっていることです。もちろん、プルダウンメニューで条件を指定することもできますが、特に条件変更を望む場合以外は、最初から表示されている方が、操作はずっと簡単です。これなら、デジタルアーカイブの検索に慣れていない方でもすんなり使いこなせるることでしょう。

同様に、「地図から写真を見る」のページに進むと、「高津区全体の地図」が表示されます。この画面で閲覧したいエリアをクリックすると、該当エリアの写真一覧が表示されます。この時も、検索条件が入った状態で表示してくれます。

たとえば、❺の画面内の地図で「溝口」をクリックしてみると…

❻の画面が表示されます。検索結果一覧部分には、「撮影地域が溝口である写真」という検索条件が入っていることが分かります。

これらの「最初から入っている」ページは、実はI.B.MUSEUMSaaSの公開システムで自動生成する「個別ページのURL」を表示しているのです。このURLは「すべてのページ」に割り振られるため、「検索結果一覧ページ」も対象となります。上の例では、「撮影地域が溝口」というページを表示しているわけですね。
高津区様は、この「全ページに個別のURLが付く」という仕様に着目し、そのURLにジャンプするための「見やすいカバーを作った」のです。種を明かせばシンプルですが、とても効果的なアイデアですね。


川崎市高津区 高津区ふるさとアーカイブ
http://takatsufurusato.sakura.ne.jp