ミュージアムリサーチャー

ミュージアムレポート

平成23年7月1日、もりおか歴史文化館が華やかに開館しました。ここは市内中心部、盛岡城跡公園にあり、盛岡観光の起点としては最高の立地にあります。この施設は2階建ての1階部分が「観光交流ゾーン」となっていて、地域の観光インフォメーションセンターを兼ねています。博物館兼観光センターといった施設は、はたしてどんな出来上がりになるのかと、個人的にも前々から完成を楽しみにしていました。

セレモニーは天候にも恵まれ、多くの関係者、来賓に囲まれてのテープカット、地元盛岡の伝統芸能の披露など、大盛況でした。準備に携わった方々のご苦労を少しだけですが見てきただけに、こうした晴れの日は同席させていただくだけで気持ちがよいものです。私も時を忘れて、各種イベントに見入っていました。

いよいよ、お客様が入館。そこで最も印象的だったのが、手前みそながら、入り口の観光コース案内端末の活躍ぶりでした。タッチパネルで街歩きのコースを紹介しているのですが、私がみている間、この端末前には人が途切れることがなく、ボランティアの方が画面を示しながら何か説明していらっしゃいました。

オープン当日ということもあるのでしょうが、ここで市内の様子を案内された人は、そのまま街に繰り出すのではなく、2階の「歴史文化ゾーン」にも立ち寄られます。そこでは、南部家ゆかりの品々をはじめとする、本格的な歴史博物館としての展示を見ることができます。

私たちがお手伝いした検索端末も、しっかり活躍していました。オープン当日ということで現地待機していた弊社SEも、来館者への操作説明を手伝わせていただき、とてもいい経験になったようです。

ここでは、必ずしも博物館の展示を見るという目的で来た人ばかりでなく、街歩きの情報収集で来た人が、「ついでに」展示を見ていくことが結構あるのではないかと思います。もともと興味のなかった人がたまたま見て興味を持ち、盛岡の歴史や文化に造詣を深めていって、リピーターになるということもあるかもしれません。

博物館には資料を保存するという役割のほかに、歴史や文化について一人でも多くの人に知らしめるという役割もあります。博物館に興味を持っていない人を引っ張り込むというのは、裾野を広げるのにとても有効。だからこそ最近は博物館で様々なイベントが開かれるのですが、地元の歴史文化や資料に関係のない単なる集客イベントをやっていても、イベントと博物館のつながりがなければ、数字が伸びるだけで本質的な目的は達成できないと思います。しかしこの施設を訪れる人は、博物館の展示ではなく観光情報を求めてくる人であっても、少なくとも盛岡に興味を持つ人であるはず。その人に、「盛岡にはもっと興味深いことがたくさんあるんですよ」とさりげなく耳元でささやくような、ここはそんな有機的な複合施設なのです。一見客をファンにしていく試みでもあるのですね。もりおか歴史文化館の今後の活躍には要注目です。

 


もりおか歴史文化館
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