2026.03.16
100周年を目指して、区民とともに育てるデジタルアーカイブ ~目黒デジタルアーカイブ100
提供機関 | 東京都目黒区
URL | https://meguro-archive.jp/
構築方式 | オリジナルサイト・リンク方式
自治体が公開するデジタルアーカイブに地域住民が参画! 官民一体の企画はうまく行けば活気ある運営を期待できますが、文化資源の情報提供にはまず何よりも正確性が求められるもの。活気と正確性はともすれば両立しづらい要素でもあり、また「住民参加の仕組みを作っても実際に参加が得られるのか」などの不安もあってか、実行に踏み出す機関はさほど多くはありません。そんな中、住民からの積極的な投稿で充実のコンテンツを実現しただけでなく、新たなコーナーを増設するほどの勢いを得た事例も。ここでは、住民パワーで成長を続ける「目黒デジタルアーカイブ100」をご紹介しましょう。

サイト名に込められた「成長」への想いと実践
このWebサイトは、目黒区制施行90年にあたる令和4年に開設されました。名称の末尾の「100」という数字は、100周年に向けて情報の蓄積・公開を加速していこうという想いのあらわれ。多様な情報を組み込みながら、デジタルアーカイブとしての面積を増床していくようなイメージで企画されたそうです。
コンテンツは区政資料のほか風景や伝統芸能、区民の思い出、いきもの、みどりの散歩道など9つのテーマから成り、すでに完成しているのは7つ。公開中の「目黒区立中学校の統合」というテーマは構築時には予定になかったのですが、統廃合の対象になった学校の関係者から「写真をデジタルアーカイブに収録してもらえないか」という相談が寄せられたのを受けて新たに追加されたものだそうです。内容も充実しており、「成長するデジタルアーカイブ」という意味では早くも大きな成果を挙げたことになります。
ショーウインドウとしてのトップページ、中に入ると3Dマップとデータベース

トップページは、各テーマへの入り口。ここでは、表示されているリンクから「みどりの散歩道」に入ってみましょう。ページには9つの散歩コースが用意されていて、それぞれ「3Dマップで見る」と「百科事典で見る」というボタンが。ここで言う百科事典とはデータベースのことなのですが、少しでもイメージしやすいようにという気配りが伝わってきますね。
では、散歩道のひとつ「01.駒場コース」を開きましょう。

3Dマップには、国土交通省のプラットフォームである「PLATEAU」が使われています。鳥観図の視点で散歩道を眺めながら、見たい場所の情報を開くことができます。見やすい地図から感覚的に選ぶことができるので、とても使いやすいですね。一方の百科事典、つまりデータベースにはI.B.MUSEUM SaaSが採用されており、「みどりの散歩道コース>01.駒場コース」という分類で検索した結果一覧が直接開く仕組み。このコースだけで60件以上の情報が収録されていることが分かります。
区民がデジタアーカイブに持ち寄った、中学校の思い出
トップページに戻り、先ほどご紹介した「目黒区立中学校の統合」というテーマを開きましょう。ここでは学校ごとのページが用意されていて、各校のページに入ると校舎と周辺を鳥のように飛び回る視点の空撮動画が。なかなか迫力のある動画で思わず見入ってしまいますが、実はGoogle Earthを活用したものです。その下には学校の沿革が掲載されており、校章とその由来の説明に続いてそれぞれのテーマを象徴する写真入りボタンが並んでいます。

試しに「生徒提出の思い出写真」を開いてみると、再びI.B.MUSEUM SaaSによる検索結果一覧画面が。「晴れた日も雨の日も外を見るといつもこの校舎が見えていた」といったコメント付きで、学校の日常のひとコマを閲覧することができます。一連の写真は、それが卒業アルバムには載らないような何気ない風景であるほど、卒業生にとってはのちのち大きな意味を持ってくるはず。まさに地域に住む、あるいはかつて住んでいた方々の思い出が詰まったアーカイブであるわけです。

「昔の風景写真・航空写真」もすごいです。「校内案内」を選び、航空写真に表示されたポイントをひとつ選択すると、なんとその場所を撮影したYouTube動画が流れます。たとえば「3年生昇降口から3年A組まで」なら、下駄箱からポスターが貼られた廊下を通って階段を昇り、教室へと進む様子を臨場感たっぷりの映像で見ることができるのです。しかも、BGMは校歌! 卒業生なら思わず涙ぐむことでしょう。

他部門の協力と区民投稿の仕組みで、さらなる成長へ
区民なら何時間も楽しめそうな充実度ですが、このサイトのデータ登録などを担当しているのは、実質お一人とのこと。昔の写真や散歩道などいわゆる地域情報のコンテンツの多くは、地域に住む住民の方々が提供したものです。そのほか専門知識が必要なテーマもありますが、たとえば地域に生息する生物の情報では都市整備部みどり土木政策課が発行した冊子「めぐろのいきもの80選」を活用するなど、正確性にもしっかり気を配っているそうです。
同サイトでは、現在も桜や生きもの、それに祭や公園などにまつわる投稿を募集中。投稿には専用のフォームが用意されており、投稿ポリシーに同意するプロセスを経るスタイルが採用されています。ネット上のやり取りで心配なトラブルも、今のところは生じていないとのことでした。

行政の組織力に加えて、区民の活力を取り込む形で育っていくデジタルアーカイブ。区制施行100周年は2032年ですから、「目黒デジタアーカイブ100」はこれからも成長を続けていくことでしょう。

