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わせだマンのよりみち日記

2020.03.01

広重の旅人たちが、LINEスタンプでシュールに復活!

みんな大好き、歌川広重の浮世絵作品。『東海道五拾三次之内 御油 旅人留女』には、客引きの女性に強引に引っ張られて、「ぐえええ」という呻き声が聞こえてきそうな旅人の姿が描かれています。アップで見てみると何ともコミカルで、現代のマンガのようなデフォルメ感。色合いの美しさや構図の大胆さで人気の広重作品ですが、そのスペシャリストである中山道広重美術館の学芸員は、改めて「人物たち」の魅力に着目しました。

広重が描く人物って、実はとてもユーモラスなんですよね。というわけで、このたび、何とLINEスタンプ化が実現。現代のコミュニケーションを象徴するような、あのお馴染みのフォーマットに収められました。実際に見ると、想像以上の壮観さじゃないですか。

 

楽しげに会話する旅人、悪天候で苦しげな町人、帽子を風に飛ばされて慌てる姿。加えて、ちょっと今風なセリフを添えると、ここまでモダンでシュールなイメージになるのですね。LINEの文化にも完璧にマッチしていますし、いや〜、これはナイスアイデアなんじゃないですか!?

 

というわけで、ミュージアムの学芸員に聞いてみました。好評に応えた第3弾のセットも登場している通り、スタンプの販売売上はかなり堅調なのだそうですよ。実に喜ばしい限りですが、個人的には、きっとそれ以上の効果がじわじわと広がるのではないか…と、期待を寄せたりして。

と言うのも、実際に家族とのやり取りで使っていると、思いのほか「すり込まれる」みたいなんですよね。

登場する人物は、タッチもポーズも表情も、実に個性的かつ特徴的。とても使いやすいので日常的に多用しているのですが、最近、それまで特に興味のなかった妻や子どもたちも、浮世絵のスタイルに親近感を覚えているようなのです。

これをLINEの中で頻繁に目にするようになれば、いつかどこかで「見たことがある」とフラッシュバックする場面もあるのではないか、と。つまり、これまでにないルートから浮世絵ファンを増やすチャンスにもつながるのでは。スタンプを上手に作れば、日本国内だけでなく外国人にもウケそうな気もしますし。

ありそうでなかったミュージアム発の浮世絵LINEスタンプ。これに限らず、今後のSNS社会では、これまでにない新しい活用法もあるのかも…と、妄想を巡らせたりする今日この頃です。