ミュージアムインタビュー

vol.200取材年月:2023年2月東広島市立美術館

先輩方のご努力があるからこそ、今のデータがある。
それを忘れることなく、後進に受け渡していきたいです。
学芸員  大山 真季 さん

-こちらに来られる前、岡山県立美術館にいらっしゃる頃にもI.B.MUSEUM SaaSをご利用いただいていましたね。2館続けて、大変お世話になっております。

大山さん:こちらこそ。当館に着任したのは2018年の4月で、その前月まで在籍していた岡山県美が導入後のデータ移行を終えたタイミングでしたから、システムを本格的に使い始めたのは当館に来てからということになります。

-こちらでのご導入は、館がリニューアルオープンされる前でしたね。

大山さん:ええ、まだ移転前の旧館にいる時に移行用データをお渡ししましたので、オープン前ですね。

-ということは、I.B.MUSEUM SaaSへのデータ移行を短期間で二度続けたという非常に珍しいご経験をお持ちなわけですね(笑)。

大山さん:言われてみればそうですね(笑)。でも、岡山では前のシステムからの移行で、メインの担当の作業を少しお手伝いしただけですので。当館ではExcelや画像、それに紙の台帳からのデータ整備で、作業内容がまったく異なりました。

-いえ、実は作業内容が違う方が珍しいんです(笑)。ちなみに、こちらのデータ移行の元データはどんな状態だったのですか?

大山さん:特にExcelのデータが使いやすくできていて、とても助かりました。旧館時代は市の職員で学芸資格を所有する職員が運営していて、長年専門の学芸員は不在のなか地道に運営してくださっていたのですが、代々のスタッフの皆さん、中でも事務職の先輩方がしっかり引き継いできてくださったおかげだと思います。私たちも見習わないといけませんね。

-異動が前提となる事務職の方々は、引き継ぎがあることを最初から想定しておられるのかも知れませんね。画像データはいかがでしたか?

大山さん:主には別の学芸員が作業してくれたのですが、そちらはやはり大変でした。どの画像データがどの作品のものなのかを紐付けなければなりませんので、すべて目視で確認する作業が避けられなくて。

-そればかりは仕方がないところですよね。お疲れさまでした。

 


-すでに作品データも公開されていて傍目にはとても順調そうに見えますが、システムまわりで何かお気付きの点などはありますか? 使いにくい部分とか。

大山さん:特に困ったことはないですけどね。検索も、クリップリストや資料利用の機能も、とても快適に使えていますし。

-でも、何かひとつくらいはあるのでは? 一度くらいはトラブルがあったり。

大山さん:あ、そう言えば公開設定で戸惑ったことはあったかな。

-詳しくお聞かせください。

大山さん:新しい収蔵作品の公開の時、項目をうまく表示できないことがあって、サポート担当の方に来ていただいたんです。その場で一緒に設定してくださったので、とても助かりました。

-項目の表示というのは、公開ページ上で?

大山さん:はい、公開ページ上で。利用者の方にご覧いただくページですので、そのままにしておくわけにはいきませんからね。

-解決してよかったです。でも、本当はお手元で簡単に解決できた方がよいですよね。お手数をおかけいたしました。

大山さん:とんでもない、何かあってもすぐに対応してくださるので、まったく問題ないですよ。ただ、頻繁には使わなくて、操作を覚えていない機能もあると思いますので、ひと目で分かれば助かるとは思いますけど。

-いまシステムのリニューアルを進行しておりますので、そのあたりも課題として検討しますね(メモ)。作品登録の方はいかがですか?

大山さん:最近、作家さんご自身がスケッチなども併せてご寄贈くださるケースもあったりして、数が増えているんです。作品に関しては、展覧会の準備などを行う時にデータがないと入出庫の管理や出品歴の蓄積もできませんから、できるだけ早めに登録しています。

-資料利用の機能が業務に馴染んでいるのですね。そこまでご活用いただいていると、「こんな機能もあるといいな」という場面もあるのでは?

大山さん:最近は映像作品も増えてきましたから、動画ファイルを登録できるとありがたいですかね。容量を軽くしたダイジェスト版だけでもアップできると、システム上でどんな作品かをすぐに確認できて便利なのでは。

-現状ではYouTubeにアップしていただいた動画をリンクで呼び出す方法を採っていますが、画像のように気軽に確認したいということですね。さっそく検討します(メモ)。

大山さん:あとは、参考文献を作品だけではなく人物にも紐付けられる機能とか。展覧会などでは、解説で作家情報を掲出する機会が意外に多いですから。

-なるほど、それは便利そうですね。ご指摘をありがとうございます(メモ)。

 


-ほかに気になることは?

大山さん:これは当館側の事情なのですが、よろしいですか?

-もちろんです。お聞かせください。

大山さん:館のリニューアル前に作品データを整備した関係上、収蔵場所のデータは旧館の棚番号で登録していたんです。ところが、移転で体系が変わったことから階層をひとつ増やさなければならなくて、御社にもサポートいただきながら対応していたのですが…。

-一括更新がご不安なのですね?

大山さん:その通りなんです。「何かひとつでも間違って上書きされたらどうしよう」と躊躇してしまって。ということで、実は場所のデータはまだ更新できていないんです。

-かしこまりました。弊社スタッフがオンラインで同じ画面を見ながら作業をサポートいたしますので、実行される時にお声かけください。

大山さん:ありがとうございます。あと、組作品の扱いに迷っていまして。

-どんなことでしょう?

大山さん:対外的な情報ではセットで記載することが多いのでデータも揃えたいのですが、そうすると、それぞれに異なる寸法などの項目を入力できなくなってしまって。仕方なくセットとバラで計3種類のデータを用意したのですが、対応として正しいのでしょうか。

-全点検索時に点数が正しく表示されないことにご注意いただければ、ご対応としては問題ないと思います。ただ、全館でご周知いただく必要がありますね。

大山さん:焼物などは、5点で1組という作品もあるじゃないですか。ひとつひとつに名前が付けられていて、セットでもタイトルがあるということもありますので、組作品のデータは迷う場面が多いんですよね。ほかの館ではどうなさっているのでしょう?

-なるほど、それはお聞きしてみたいところですよね。

大山さん:はい、ぜひ知りたいです。

-まず、それぞれの作品を関連付けて登録すると便利ですよ。(サンプル画面をお見せしながら)ほら、こんな感じで「この作品に関連する作品」を一覧表示して呼び出すことができるんです。公開画面でも使える機能ですので、便利ですよ。

大山さん:なるほど、これはよいことを聞きました。

-関連機能とは別に、他館の状況につきましては、弊社スタッフにも声をかけて事例を探してみますね。

大山さん:ぜひよろしくお願いします。

-かしこまりました。本日はとても参考になりました。お忙しいところ、本当にありがとうございました。

Museum Profile
東広島市立美術館 2020年11月、東広島の市街地・西条への移転を機にリニューアルオープンした美術館です。「近現代版画」「現代陶芸」「郷土ゆかり」を中心に継続的な作品の収集・展示を行うほか、国内外の優れた美術作品を紹介する特別展、さらに1982年から続く「現代絵本作家原画展」も大好評。広々とした公園に隣接する、幾何学的なユニットで構成された特徴的な建物も印象深く、街の新たなランドマークとして常に多くの人で賑わうミュージアムです。

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