- vol.240取材年月:2026年9月福島県立博物館
日常業務では不便なく使いこなせているからこそ、
今後は機能を学んでさらなる効率化に取り組みたいです。主任学芸員 山口 拡 さん
学芸員 土屋 祐貴 さん
-弊社のシステムをご導入いただいたのは、お二方ともまだご着任前ですよね。
土屋さん:はい。年報によると、2013年度に以前のシステムから移行していますね。I.B.MUSEUM SaaSを採用させていただいたのは、前システムが動いていたOSのサポート終了がきっかけだったと聞いています。
-サービス提供開始が2010年11月ですから、弊社から見るとかなり早い段階でご採用いただいたことになります。前システムの稼働状況はお聞きになっていますか?
土屋さん:それも年報に載っていまして、この時点ですでに登録点数は9万点以上あったそうですから、システムはきちんと活用できていたようですね。
-それほどの規模のデータを、まだ現在のように実績を積む前のクラウドシステムに預けてくださったのですね…(感動)。本当に感謝しております。では、それぞれのご着任時期と当時の資料データベースの状況をお聞かせください。
山口さん:私が着任したのは 2017年です。担当は民俗分野なのですが、ちょうどその頃は人の入れ替わりが多い時期でした。資料も増え続けていたので、整理段階からデータベースに登録する業務フローを確立するように動き始めていました。
-ベテランが一気に抜けると大変ですよね。
山口さん:新人職員にとっては、収蔵資料の全体像を把握するのが最初の関門ですからね。もちろん実際に収蔵庫の資料を見ることが重要なのは変わりませんが、データベースを併用することで理解が進みやすいと思います。今も資料に紙のカードをつけるやり方は続けていますが、時間差を作らず同時にシステム上にも登録していくようにしています。
-まさに過渡期だったわけですね。土屋さんはいかがでしょうか。
土屋さん:私は2024年の着任で、担当は自然分野、専門は化石です。登録や資料検索のほかラベルの出力なども日常的に使われていましたし、データも公開済みでした。
-7年間の間に、データベースはすっかり業務に根付いていたわけですね。ちなみに、2024年はちょうどI.B.MUSEUM SaaSのリニューアル時期にあたりますが、初めてお使いになったのは旧インターフェイスでしたか?
土屋さん:はい、最初に触れたのは古いインターフェイスです。正直に言って、「ものすごく使いやすい」とは感じませんでした…すみません(笑)。特にタブを切り替えながら閲覧するスタイルには戸惑いましたが、リニューアル後はグッと見やすくなりましたね。
-恐縮です(汗)。その画面はリニューアルの最重要点のひとつだったので、ご評価いただけたなら嬉しいです。
-さて、ふだんは主にどんな機能をお使いですか?
山口さん:やはり検索機能ですね。キーワードひとつで自分の担当分野以外の資料の情報にもアクセスできるので、とても助かっています。今年の春の企画展では、検索で見つけた他分野の資料も出品して活用することができました。
-具体的にはどう活用されたのですか?
山口さん:今回は「虫」に関する展示だったのですが、キーワード検索したら歴史分野の資料がヒットして。「こんなのあるの?」と、担当から詳しく教わって展示しました。単体では面白いけど、企画展のような大きなストーリーの中では展示の機会がない資料というのもあるんです。でも違う分野の視点で見たら展示できることもある。当館のような総合博物館の強みを活かすことにもつながると思います。
-なるほど。埋もれがちな資料が脚光を浴びるのは素晴らしいですね。
山口さん:まさに価値の再発見ですからね。ただ、情報が登録されていなければ検索にヒットしませんし、資料はどんどん増えていくので登録を頑張らないと。
-自然分野ではどうですか?
土屋さん:I.B.MUSEUMを確認するだけで登録番号の取得状況が確認できるのはありがたいですね。論文を書くために登録番号だけが先に取得されていることがあるのですが、職員間で素早く状況の共有ができています。新たに資料を登録する際、番号の重複を避けることに役立っています。
-他館からは自動発番機能などのご要望も承っていますので、さらに便利にお使いいただけるよう検討を進めますね(メモ)。ところで、先ほどのラベルへの出力なのですが、サイズやデザインを自由に変更できることをご存じですか?
土屋さん:そうなんですか。デザインは、さほどこだわってはいませんね。
-工夫のしがいはあると思いますよ。たとえば、昆虫標本用に小さなカードを作成している館もありますし。
土屋さん:あっ、それはいいですね! 当館にもサメの歯の化石とか、小さな資料があるんです。今は箱の中でカードの束と一緒に収納されているので、応用できるかもしれません。
-山口さんの民俗分野でも、資料本体に添えるカードなどをシステムから出力できますよ。
山口さん:民俗では、カードやラベルの直接出力はまだ使っていないですね。民具以外に文書や軸物などもあって、管理方法が多様ですので。
-民俗資料にも軸物が多いのですか?
山口さん:資料として受け入れる時、絵師がいるものは美術分野になりますが、祭りや信仰に関わるものなどは民俗分野に来るんです。
-なるほど。そうなると、経年劣化への配慮から、出品歴の情報は重要になりますよね? 展示や貸出の管理情報を資料データに紐付けて出品歴を自動的に蓄積することもできますよ。
山口さん:へ〜、そんな機能があるなら、ぜひ使ってみたいです。
-ほかにも、検索結果のリストを編集して保存できるクリップリストは展覧会の出品リストにできますし、展示や貸出業務周辺の機能はきっと便利にお使いいただけると思います。
-細かい機能はこれからでも、公開機能をしっかりお使いいただいていますよね。「学芸員のおすすめ資料」はホームページ側からアクセスしやすいですし、とても工夫されていると思います。
山口さん:ありがとうございます。データベースを公開してしばらく経った頃、他館の学芸員や研究者以外、一般の方にも広くお使いいただくにはどうすればよいかという議論があったんです。「一般の方々には、ある程度のまとまりを作ってご紹介した方が興味をお持ちになるのでは」という意見が出て、現在の形になりました。
-私が見ても「面白そう」と感じましたので、他館の皆様のご参考にもなると思います。では、最後に、今後の目標などお聞かせください。
山口さん:システムを導入した時期から世代交代もあったので、「このシステムで何ができるのか」「どこまでできるのか」を十分に理解していないように思います。日常の業務の範囲では使いこなせているので、特に不便を感じないことが原因かもしれません。
-確かに、困ることがないのであれば、そのまま使っても問題ありませんよね。
山口さん:でも、今のお話では、機能を使いこなせばもっと効率化できる業務もありそうなので、今後は積極的にシステムの利点を引き出して活用したいと考えています。
-では、各分野のご担当の方々にご都合をうかがって、皆様にご参加いただけるタイミングで改めて操作説明会を開催するのはいかがでしょう?
山口さん:それはありがたいです、ぜひお願いしたいです。
-かしこまりました。では、弊社の担当から改めてご提案いたしますね。本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。
- Museum Profile
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福島県立博物館
鶴ヶ城の三の丸跡に建つ、福島県の考古・歴史・民俗・美術・自然を紹介する総合博物館。原始から現代までを辿る常設展のほか、年3回ほど開催する企画展では県内外の文化遺産や自然史資料を展示しています。若松城下の模型に映像を投影する「あいづスタジアム」や、奥会津の暮らしを伝える大型スクリーンも見どころ。無料の広場「なんだべや」は、天候を気にせず遊びやものづくりを楽しめる場所として、子ども連れにも大人気です。
〒965-0807
福島県会津若松市城東町1-25
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