ミュージアムインタビュー

vol.173取材年月:2021年11月東川町

人がつながり町の力になり、その力が人を呼び寄せる。
文化財の価値も、ぜひ活用していきたいです。
文化交流課 文化推進室 室長  佐々木 幸代 さん
文化交流課 文化推進室 主任  手嶋 由香 さん
文化交流課 地域おこし協力隊  斉藤 知子 さん

-何年か前、「織田コレクション協力会」に弊社スタッフがお邪魔する機会がありまして、そのご縁で貴館にデジタルアーカイブを提案させていただきました。I.B.MUSEUM SaaSのご導入は2019年の10月と記憶しております。

斉藤さん:私は2019年11月に着任しましたので、まさに直前ですね。

-ご導入から半年も経たずに「東川町文化財デジタルアーカイブ」の公開まで漕ぎ着けておられます。弊社内でも話題になったのですが、ご担当は公開と同時に任期満了だったとか。すごい方ですね。

斉藤さん:そうなんです。FileMakerから移行したのですが、元データからアップできそうなものを選んで3月に間に合わせくださった結果、織田コレクションからも140点ほど公開できました。その後、作業は秋頃まで続きましたが、その間、御社のサポートの方には本当にお世話になりました。

佐々木さん:とても初歩的な質問をしたり、同じ話を何度も繰り返しお尋ねしたり。みんなで「こんなに手がかかる顧客はウチぐらいだったりして」って(笑)。

-そんなことはないです、全然大丈夫です(笑)。デジタルアーカイブの公開では素晴らしい結果を残されましたが、ほかにどんなシーンでシステムをご活用いただいていますか?

斉藤さん:展示の担当者が、履歴まわりの機能がとても便利だと言ってました。キャプションのデータ蓄積にも使っているようで、次にその作品を使いたい時に再利用しているようです。いつ、どこに何を展示したかを丸ごと把握できるのはありがたいですよね。

-履歴機能はまさにそんな利用法を想定して用意したので、お役に立っているなら嬉しいです。

斉藤さん:あと、クリップリスト機能も便利ですよね。展示を考える時はリストを多めに作って、検討しながら絞り込んでいくという使い方をしています。

-なるほど、リストの精度を徐々に上げていくというのはよいアイデアですね(メモ)。

佐々木さん:私は、松田与一という彫刻家の作品管理に使っています。今年完成した松田与一記念館では、全680点の作品のうち約650点を所蔵していますので、作品ごとに展示場所を書き込んだり、公開情報を編集したり。

手嶋さん:私は、文化財の指定登録などの業務を担当していますので、資料の情報を入力したり、問い合わせに対応したりするのに使っています。

-手嶋さんは、まだご着任から間もないですよね。

手嶋さん:はい、今年の4月に着任したばかりです。

-さっそくお使いいただいているのですね。ありがとうございます。

斉藤さん:織田コレクションはJR旭川駅のステーションギャラリーでも展示しているのですが、展示替えで作品を選ぶ際には必ず利用します。本当に役立っていますよ。

-皆さん、ご自分の持ち場に合った使い方を身につけておられますね。前任の方のお仕事を見事に引き継いでおられて、素晴らしいと思います。

 


-これだけ活発にご利用いただいていますので、そろそろ気になることも出てきてくる頃では。ご不満な点などはございませんか?

斉藤さん:少しあります。たとえば、画像の大きさとか。画像一覧の表示が小さくて、判別しにくいかな、と。

-(画像を見ながら)美しく見せるために余白をゆったり取っておられますから、システム上の表示は確かに小さいですね。

斉藤さん:それから、写真付きのリストを帳票として作る時などは、出力の上限が100件というのは少し不便ですね。次の100件ときれいにつながるように調整するのが結構手間でして。

佐々木さん:帳票と言えば、フォントをもう少し自由に指定できるとよいかなと思います。

手嶋さん:私は特に思い当たらないのですが、帳票やフォントについては同感ですね。

-ご指摘ありがとうございます(メモ)。どちらもさっそく検討課題に追加させていただきます。

佐々木さん:あと、ひとつご質問があるのですが、今よろしいですか?

-もちろんです。どんなことでしょう?

佐々木さん:デジタルアーカイブについて、ゆくゆくは多言語で発信したいと考えているんです。現在は日本語のほか英語に対応しているのですが、今後、他の言語も順次対応していくことは可能でしょうか。

-はい、各言語の入力項目を追加していく形で対応できます。多言語で紹介したい資料があるというのは素晴らしいことですので、ぜひおすすめしたいくらいです。操作方法や他館の事例などを説明させていただきますので、ぜひサポートスタッフにご相談ください。

佐々木さん:ありがとうございます。特に織田コレクションは世界にアピールできるコンテンツになるはずですから、SNSでの発信では極力英語のハッシュタグをつけるようにしているんですよ。

-地域づくりに、国際交流にと、コレクションの付加価値がどんどん広がっていきますね。本当に楽しみです。

 


-東川町と言えば写真の町ということで、写真甲子園で有名ですよね。私は以前、ブログ記事用に取材させていただいたことがありますが、「君の椅子」プロジェクトもとても印象的でした。いろんなことにチャレンジされていますよね。

佐々木さん:今年から新しいプロジェクトも始まりました。「『隈 研吾 & 東川町』KAGUデザインコンペ」とタイトルなのですが。

-え? あの建築家の隈研吾さんとのコラボなのですか? すごい、よく実現しましたね!

斉藤さん:おかげさまで。そのほか、「よい椅子の日」の4月14日を中心に、毎月14日にデザインスクールを開催しているのですが、織田コレクションの織田憲嗣先生に加えていろいろな方々がご協力くださっています。

手嶋さん:アートディレクターで岐阜県美術館館長の日比野克彦さんとか、東京五輪・パラリンピックのロエンブレムをデザインされた野老朝雄さんとか…。

-う〜ん、オールスターチームですね。今回は2年ぶりにお邪魔しましたが、発展が加速していますね。

佐々木さん:町が今まで手掛けてきたことがいろいろとつながり始めた実感はあります。以前、町にお越しくださった後には組織再編があって、今は文化交流課としていろんな部署と一緒に仕事を進めています。

斉藤さん:私は地域おこし協力隊として町に来ました。これまで美術館の学芸員やアートギャラリーで働いていました。他の部署でも多くの地域おこし協力隊員が活躍しているんですよ。

佐々木さん:地域活性化企業人や地域おこし協力隊には、航空会社にお勤めの方をはじめいろいろな分野の専門家の皆さんがおられるんですよ。多様なプロフィールの移住者が集まって、それぞれ力を発揮してくださっているからこそ、町のパワーになってさらに多くの人々を呼び寄せているように感じます。

-若者だけではなくて、いろんな立場の方がおられるのですね。

佐々木さん:そうなんです。ここに国際交流と文化財もつながれば、もっと大きなパワーになっていくはずですので、頑張っていきたいですね。

-いや、本当に驚きました。本日は元気が出るお話をたくさんお聞かせいただき、ありがとうございました。

Museum Profile
東川町 北海道のほぼ中央、大雪山連峰・旭岳の麓に位置する東川町は、豊かな水と肥沃な大地に恵まれた穏やかな町。昔から木工家具づくりが盛んで、「写真の町」としても有名です。昨年、椅子研究家の織田憲嗣氏が長年にわたり収集・研究してきた通称「織田コレクション」を中心とする文化財のデジタルアーカイブを公開。多くの自治体が過疎に悩む中、「適疎」という新しい発想を掲げて人口増を実現する、いま再注目の自治体のひとつです。

ホームページ :
北海道東川町 https://town.higashikawa.hokkaido.jp/
東川町複合文化交流施設 せんとぴゅあ https://higashikawa-town.jp/CENTPURE
せんとぴゅあⅠ 〒071-1426北海道上川郡東川町北町1丁目1番1号
せんとぴゅあⅡ 〒071-1426北海道上川郡東川町北町1丁目1番2号
TEL:0166-82-2111(代)