ミュージアムIT ケーススタディ

ミュージアムレポート


https://www.hankyu-bunka.or.jp/archive/

提供機関 : 阪急文化財団
仕様システム : I.B.MUSEUM
狙いと特徴 : ポスターや浮世絵など、それぞれのジャンルに合わせた見せ方を提供


分かりやすいデザインで多様なコンテンツを整理。
「路線図から」という鉄道会社ならではの検索が好評。

思わず「見たい」と乗り出すデザイン

「阪急・宝塚ポスター」「浮世絵・番付」「民俗芸能資料」という性質の全く異なるコンテンツで構成されるアーカイブ。全分野を横断的に検索できるほか、各コンテンツの特性に合わせた詳細検索がそれぞれに用意されました。その分野を象徴する画像とレイアウトによる「思わず中身を見たくなる」演出が効果的で、「デザインの力」を実感するサイトに仕上がっています。

阪急電鉄の路線図で検索に臨場感を

最大の特徴は、ポスターを路線図から検索できること。沿線に住む人にとっては地図以上に「地元」や「暮らし」を連想しやすい電鉄会社ならではの臨場感あふれる表現が大好評です。駅名を検索するとズラッと表示されるポスターは、人によって異なるその時々の思い出を一緒に脳裏に映し出すためか、多くの方から「懐かしい」という声が届いているそうです。

 

実は奥が深いけれど、入り口はとてもフレンドリー。
初見の方も優しく誘導できるデジタルアーカイブ。

専門家が楽しみ方をさり気なく提案

検索トップには「キーワード例」が表示されています。たとえば「震災」からは阪神大震災当時のポスターなどを復興過程の貴重な足跡として閲覧できますが、これは阪急文化財団のアーカイブ上では連想しにくいキーワード。例示がなければ気付かずに素通りする人が多いはずで、誘導が大きな効果を発揮していると言えます。
また、学芸員がテーマを決めてアーカイブを紹介する「特集」コーナーも。こちらには「味覚」や「涼」といった面白いテーマが並びます。
「こんなに面白いものがありますよ」と、専門家のキュレーションをそっと添えて楽しみ方を提案する…。予備知識がない人向けのデジタルアーカイブづくりでは非常に重要な要素です。

今後も成長するデジタルアーカイブへ

公開されたデジタルアーカイブは、収蔵品管理システムであるI.B.MUSEUM を通じて、登録側=学芸業務で使用する側のデータベースと直結されています。構築にあたっては、業務側の機能や使い勝手の改善にも力を入れており、内部の作業環境と外部に向けた「公開の質」をともに高いレベルで両立しています。

併せて、職員の間では「データベースへの年間新規登録点数の目標」を共有。しかも、初年度はこれを早々にクリアし、新しいジャンルが増えた場合の公開方法まで検討を開始するなど、現場も非常に士気高く取り組んでおられます。
魅力を高めながら、将来に向けて成長するデジタルアーカイブ。大いに参考となりそうです。

まとめ

多くの人に見てもらうにはどうしたらよいか。
コンテンツに合った見せ方の工夫が、成功への近道。