- vol.225取材年月:2025年7月目黒区広報広聴課
まず「10年後」をひとつの目標に定めて、
コンテンツを増設しながらしっかりと発展させていきたい。都市整備部 / 都市整備課 街づくり調整係 齋藤 元志郎 さん
企画経営部 / 広報広聴課 広報広聴係 髙良(たから) 真理子 さん
-本日は、区の「目黒デジタルアーカイブ100」のことを詳しくお聞きしたくて参りました。じっくり拝見しましたが、とても完成度の高いデジタルアーカイブですよね。
齋藤さん:ありがとうございます。これまで蓄積してきた写真や音源、広報資料などを公開しているのですが、お陰様でご好評をいただいています。
-公開された令和4年は区制施行90周年の年だったそうですが、タイトルの「100」という数字はどんな意味なのでしょうか。
齋藤さん:これから100周年に向けて、情報の蓄積・公開を加速していこうという想いを込めました。さらに多様な情報を組み込みながら、デジタルアーカイブとしての面積を増床していくようなイメージでしょうか。
-え、向こう10年間にわたる継続的な運営を想定して名付けたのですか! それだけでも素晴らしいと思います。
齋藤さん:そうなんですか?
-はい。デジタルアーカイブのプロジェクトでは、正常な公開環境の維持を計算に入れていなかったり、更新が途絶えてしまったりするケースもあるんです。
齋藤さん:なるほど、継続性が重要なんですね。
-そうなんです。公開以降、当初予定になかった増設コンテンツはありますか?
高良さん:はい。統廃合の対象になった学校の関係者の方から、その学校の写真をデジタルアーカイブに収録してもらえないかという相談をいただき、すぐにコンテンツ化に向けて動き出しました。その後、ひとつのコーナーとして登録・公開することができ、増設を想定していたことで円滑に実現させることができたと思っています。
-なるほど…(メモ)。リアルの博物館運営では、開館後に住民の方々が資料を寄贈してくださったというケースをよく耳にしますが、デジタルでも同じなのですね。当初はどんなコンテンツを計画されていたのですか?
齋藤さん:区政資料のほか風景や伝統芸能、区民の思い出、いきもの、みどりの散歩道など9つのテーマをリストアップしました。現在までに7つが完成しているのですが、それに今回の「学校統廃合関係」が加わった形です。
-何人がかりで作業に臨んでおられるのですか?
高良さん:区政資料のアーカイブを担当している職員が1人いますが、それ以外の写真のアーカイブ作業やサイト管理については、私一人で担当しています。
-え、お一人なんですか! それは大変ですね。区政資料だけでなく、幅広い分野の情報が満載の状態ですから、内容を確認するだけも一苦労では?
高良さん:そのあたりは他部署にも協力を仰いでいます。たとえば生きもののデータなら、都市整備部みどり土木政策課という部署で「めぐろのいきもの80選」という冊子を発行していて、そこに掲載されている情報は専門家によって同定されたものですので、うまく活用しながら進めたり。
-区の総合力がデジタルアーカイブに統合されていくわけですね。将来が楽しみです。
-さて、「目黒デジタルアーカイブ100」では、I.B.MUSEUM SaaSの登録情報をデジタル百科事典のソースとしてうまく活用されていますよね。まず、システムの選定ポイントはどんな点にあったのでしょうか?
齋藤さん:企画段階では、データは蓄積されているものの未整備の状態でした。そのため、情報をどう活用するかという議論の前に、まず整理する必要があったんです。データベースシステムをあれこれ調べているうちに、ミュージアム向けのシステムとして圧倒的なシェアを築いていることを知って、自然と候補に挙がることとなりました。
-ありがとうございます。機能面については体験版で確認されたのですか?
齋藤さん:はい。いろいろと試してみて、かなり自由度が高いことを確認しました。何よりも、これだけのデータを登録しているのに操作が軽いのは、とてもありがたいですね。
高良さん:最近、インターフェイスが新しくなって、画像登録まわりの機能も使い勝手が上がりましたよね。画像をまとめてアップできる機能は、冊子の登録などで重宝しそうです。
-ありがとございます。冊子の登録ではページ順が重要かと思いますが、意図通りの順番に並べるための機能改善を検討中なんです。実現すれば、かなり便利にお使いいただけると思いますので、しばらくお待ちください。
高良さん:そうなんですか。本格的に作業を始める前に聞けてよかったです(笑)。
-進展があり次第、すぐにお知らせしますね。
高良さん:ぜひよろしくお願いします。
-「目黒デジタルアーカイブ100」では、デジタル百科事典ともうひとつ、デジタル3Dマップがコンテンツの柱になっていますね。あれは、見ていてとても楽しいです。建物もちゃんと立体表示されて、まさに散歩感覚で。
齋藤さん:3DマップにはPLATEAUを使っているんですよ。
-不勉強で申し訳ありません、少し詳しく教えてください。
齋藤さん:PLATEAUは国土交通省の3Dマップのプラットフォームで、さまざまな用途に使われているんです。「目黒デジタルアーカイブ100」の3Dマップでは、PLATEAUの扱いに長けたベンダーさんにお願いして、コンテンツを追加・編集できるように作ってもらいました。
-なるほど、それなら将来的にはI.B.MUSEUM SaaSもデータを連携できるかもしれません。3Dマップで表示する解説や画像の情報をI.B.MUSEUM SaaSから引き出せるようになれば、かなりお役に立つのでは。
高良さん:それは嬉しいですね。楽しみにしています。
-かしこまりました、さっそく検証してみますね(メモ)。それから、区民の皆様からの情報提供については、かなり自由な投稿ができる状態のようですが、特に問題は生じていませんか?
高良さん:はい。現状では桜や生きもの、それにお祭りや公園などの想い出についての写真や映像の投稿をお願いしていますが、今のところ問題が発生したという情報は聞きませんね。投稿前に、投稿フォーム上で投稿ポリシーをご承知いただく流れにしているためでしょうか。
-なるほど。最近、住民投稿の機能を検討したいけれど、トラブルが発生しないかと気を揉むケースも少なくないようでして。こちらの取り組みは、その点でもほかの自治体にご参考としていただけそうです。
-区制施行100周年が当面の目標とのことですが、現状の課題をお聞かせください。
齋藤さん:まずは、構築時に掲げたテーマの中で、まだ未着手のものをしっかり進めていきたいですね。今後も、区立中学校の統合などに伴って、新しいコンテンツの設置の需要も出てくるでしょうし。
-(画面を操作しながら)追加された学校コンテンツも楽しいですよね。Googleアースのオープニング動画といい、I.B.MUSEUM SaaSを使った百科事典機能といい、それに校歌の音源といい。校舎内で撮影した動画まであるんですね。
高良さん: 100周年を迎える2032年までにはまだ時間がありますので、これからも新しい企画が発生するかもしれません。とは言え、まずは目の前にある課題を早めに進めていきたいですね。
-弊社がお手伝いできることがありましたら、お気軽にお声がけくださいね。本日はお忙しい中、ありがとうございました。
- Museum Profile
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目黒区広報広聴課
「目黒デジタルアーカイブ100」は、東京都目黒区が区制施行90周年の記念事業の一環として公開したオンライン資料館です。3D都市モデル「PLATEAU」を活用した「目黒デジタル3Dマップ」と、I.B.MUSEUM SaaSをベースとした「目黒デジタル百科事典」を軸に、区が保有する写真・映像・音声、学校や地域団体に伝わる歴史資料や生活の記録などを体系的に集約。区民・団体からの投稿も受け付け、次世代に継承する文化資産として継続的に発展を続けています。
〒153-8573
東京都目黒区上目黒二丁目19番15号
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ホームページ(目黒デジタルアーカイブ100):https://meguro-archive.jp/