ミュージアムインタビュー

vol.190取材年月:2022年8月静岡市立登呂博物館

データベースは、歴代の先輩方から受け継ぐ情報の宝庫。
私たちも、継承の歴史を守っていけるよう頑張ります。
主事   宮﨑 顕太郎 さん

-最近、各地のミュージアムには若手の学芸員さんが増えたように思います。宮崎さんは事務職とのことですが、やはり大変お若いですよね。

宮崎さん:はい、新卒の2年目です。館内では私が一番年下ですが、長い職員でも5年くらいだと思います。

-それは活気がありそうですが、大変でもありますよね。ミュージアムの仕事は、若い感性も大事ですが、それ以上に経験がモノを言う場面も多い世界ですし。

宮崎さん:当館の場合は、基本的に5~6年で職員が入れ替わってしまうと思います。でも、必要な情報は、歴代の先輩方からI.B.MUSEUM SaaS でしっかりと引き継がれています。

-ベテラン学芸員の皆さんは「生き字引」のように資料情報を記憶しておられる方が多いので、収蔵品管理システムはその膨大な知識を継承する役割も担わなければならないのですが、それがまさに実現されているわけですね。

宮崎さん:仰る通りだと思います。仕事では何かあると情報を検索しますが、まさに先輩方が築いてくださったデータがあってこそですから、大切に使わせていただいています。

-素晴らしいですね。短期間で異動となることが事前に分かっているからこそ、後進のことを考えて「しっかりデータを残していこう」というお気持ちになるのかも知れませんね。

 


-現在の職員の皆様も含めた先輩方がバトンを継ぐように整えて来られたデータですが、初めてシステムをご覧になった時の印象はいかがでしたか?

宮崎さん:利用させていただいている以上、内容を把握したいと思い、まずはひとしきり閲覧してみたのですが、とにかく驚きました。すでに多くの写真が登録されていて、内容を視覚的に理解できましたので、「これなら探したい資料情報をすぐに特定できる」と感じました。

-着任されたばかりの頃は、直感的な情報がないと分かりづらいですよね。同じ名前の資料などは、画像がないと判断が付かないというお話は、あちこちでよく耳にします。

宮崎さん:同感です。写真が登録されていれば、検索条件の工夫で必要な情報に最短距離でアクセスすることも可能になりますので、慣れるにつれて作業がスムーズになりました。

-それは何よりです。システムの機能と言うよりも、歴代のご担当の皆様がデータの登録作業を頑張ってくださった賜物ですよね。

宮崎さん:はい。もとの資料情報の整備からシステムへのデータ登録まで、どれほどのご苦労があったのかと思わずにはいられません。逆に、私たちの世代がその成果に水を差すことはできませんので、同時に責任の重さを感じています。

-資料は今後も増えていくでしょうから、データの更新が続きますね。

宮崎さん:発掘や寄贈もそうなのですが、最近は特に蔵書が増えているようです。図書コーナーの充実も館の特徴のひとつですので、担当スタッフが日常的に登録作業を行っています。

-システムの機能面はどのくらいお使いですか? 企画展の内容などを考えるのに便利なクリップリストや、他館への資料の貸出履歴の記録など、多彩な機能を備えていますが。

宮崎さん:現在の日常業務では、登録作業と検索がメインです。勉強して高度な機能も使いこなしたいのですが、やはり日々の仕事が優先となりますので。

-それでしたら、弊社で操作説明会を実施しましょうか? システムでできることを一気に知る機会になると思いますよ。

宮崎さん:それはありがたいです、学芸部門にも伝えてみます。でも、御社にとってはお手間になるのでは。

-手間だなんてとんでもないです、まったく問題ございません。早い方がよさそうですので、社に戻ったらサポート担当と相談してみますね。

 


-さて、システムをご利用になって、何か気になる点などは?

宮崎さん:特にないのですが、公開ページの検索画面が少しとっつきにくいかも知れません。オリジナルキャラクターの「トロベー」が登場するような画面なら、もう少し当館らしさをアピールできるかな、とは思っていました。

-今日は小学生の団体などで館内がとても賑やかですが、トロベーが解説するような画面なら、子どもたちにも喜んでもらえそうですね。

宮崎さん:まさにそんなイメージです。可能でしょうか?

-ヘッダ部分にイラストを入れることは可能です。ただ、もう少し自由度を高めてもよいかも知れませんね。検討してみますね…(メモ)。

宮崎さん:きっとほかの館の方々もお喜びになるのではと思います。

-よいアドバイスをありがとうございます。ところで、教育連携ほか、最近は「文化観光」というキーワードも浮上していて、博物館に求められることが増えていますが、そちらの方面へのお取り組みはいかがですか?

宮崎さん:まさにいま、そうした事業へのチャレンジを検討しているところです。遠方で当館にお越しになれない方も多いと思いますので、市外へのアピールの意味も込めて、積極的な情報発信の方法を考えています。

-情報発信面では、すでにI.B.MUSEUM SaaS の公開機能をご活用ですしね。

宮崎さん:はい。でも、まだ使っていない機能もあると思いますので、ぜひ詳しく学びたいです。

-こちらは素材も豊富そうですから、システムをうまく使いこなしていただけば、極力手間を抑えながら利用者の皆様にお楽しみいただけるサービスを検討することもできるように思います。弊社は他館の事例情報も蓄積しておりますので、勉強会と併せてお届けしますね。

宮崎さん:それもありがたいです。ぜひお願いします。

-かしこまりました。情報発信については、何か具体的なイメージはありますか?

宮崎さん:個人的にポンと浮かぶのは、動画配信でしょうか。たとえば、登呂遺跡には復元水田があって、一部は職員が稲作をしています。残りは市民水田として貸し出しているのですが、田植え体験のイベントの様子や稲を育てていく過程などを配信できると面白いなと思います。

-よいアイデアですね。自館で水田を持っているミュージアムはとても珍しいですし。

宮崎さん:館の特色でもありますので、もし動画の公開を検討するなら、当館らしい配信方法を館内で相談してみたいと思います。

-そこに弥生時代の生活道具の画像や解説を盛り込めば、教育現場でも役立つエンタメ系コンテンツができるかも知れませんね。それから、先ほど屋上から見えたのですが、田んぼアートも活用できそうです。

宮崎さん:今年は登呂遺跡が特別史跡となって70年、当館が開館して50周年という節目の年 ですので、そのお礼のメッセージを田んぼアートで表現しました。お陰様でご好評をいただいています。

-アイデアはたくさん出てきそうですね。

宮崎さん:そうですね。まだまだありそうですので、館内で議論していければと思います。

-弊社もサポートできるよう頑張ります。本日は元気が出る話をたくさんお聞かせくださり、ありがとうございました。

Museum Profile
静岡市立登呂博物館 あの特別史跡「登呂遺跡」と一体化した、実に個性的な博物館。出土した貴重な遺物を展示する2階の常設展示室、遠い時代をリアルに感じる体感型の展示が好評の1階の弥生体験展示室のほか、復元水田も有しています。登呂ムラを再現したミニチュア、登呂遺跡にまつわるクイズなど、館内は好奇心を刺激される工夫が満載。展示室の見学に加え、登呂遺跡の散策や水田での田植え体験など子どもたちにも大人気の参加型ミュージアムです。

〒422-8033 静岡市駿河区登呂五丁目10番5号
TEL 054-285-0476
ホームページ:https://www.shizuoka-toromuseum.jp/