ミュージアムインタビュー

vol.223取材年月:2025年6月文化学園服飾博物館

機能の追加・改善で進化していくのがクラウドの魅力。
今後も使いやすさを追求していただければと思います。
学芸員 金井 光代 さん

-長くお使いいただいたサーバ設置タイプの弊社システムから、クラウドに移行されました。まず、当時の状況をお聞かせください。

金井さん:サーバが古くなったのがきっかけですね。ハードウェアを入れ替えても何年後かに同じ問題が発生するなら、新しい機能が追加されて進化していくクラウドの方が利点が大きいと考えて、御社にご相談しました。

-ハードの老朽化を機にI.B.MUSUEM SaaSに切り替えられるケースはとても多いです。実際の使用感はいかがですか?

金井さん:それが、細かい部分で少し困ったことがありまして。

-え! 何かあったのでしょうか?

金井さん:以前のシステムではマスターとなる高解像度の画像を登録してサーバ内に保存できたのですが、クラウドではできませんよね。そこで、いったんNASに保存した画像をシステムから呼び出す形にしようとしたのですが、セキュリティの関係上、この方法は認められなくて。

-なるほど、クラウドサービスには学内ネットワークのNASをリンクさせられないということですね。

金井さん:そうなんです。やむを得ず、作品のマスター画像が必要な時は、別途NASにアクセスしています。

-それはご面倒ですね…。大変申し訳ございません。

金井さん:いえいえ、それほど頻繁に発生するわけではありませんから。でも、ほかの館ではどう管理されているのでしょう?

-普段使いの画像はシステムに登録し、高解像度画像は館内ネットワーク内の別の場所で管理するという方法はよくうかがいます。やはり「日常的に使うわけではないから」と割り切ってくださっているのだと思います。あとは、別のクラウドサービスに置いてリンクさせたり。

金井さん:なるほど。当館の場合は以前のシステムで使っていた機能なので、余計に不便に感じるのかもしれませんね。

-いえ、弊社が事前にシステム周辺の貴館のルールまでしっかり確認するべきでした。大変申し訳ございませんでした。


-クラウドに移行して不便にお感じのことは、ほかにもありますか?

金井さん:前のシステムでは画像付きのExcelデータを出力できましたが、あの機能がなくなったのは少し残念でした。

-Wordの帳票機能では対応できない業務があるのですね。

金井さん:はい。館内で提案したり、何かを検討する時に画像付きのリストを使うのですが、列をまるごと削除したり挿入したりという操作は、Excelの方が便利なんですよ。慣れもあるとは思うのですが、現状ではWordの帳票は使わず、画像のないリストをExcelから出力して手作業で画像を貼り付けています。

-ご不便をおかけしているようで、重ねてお詫びいたします。実は、現在検討中の新しい帳票機能で、Excelの画像付きリストを出力できるようになる予定なんです。ただ、1年ほどかかってしまうと思いますので、恐縮ですがお時間をいただければ。

金井さん:そうなんですか! 楽しみにしています。

-ありがとうございます。ほかに気になったことはございませんか?

金井さん:すでに解決済みのことでもよろしいですか?

-もちろんです! ぜひお聞かせください。

金井さん:検索をかけると、登録されているはずのないデータがヒットすることがありまして。御社のご担当の方に除去していただいたので、今は大丈夫なのですが。

-担当から報告を受けております。クラウドへのご移行の際、貴館のご担当の方から「この作品にはこういう関連ファイルがあった」という情報を残したいというご要望をいただきまして。でも、ファイル本体がクラウド上に保存されていない場合は、クリックしても開けない意味不明なデータとして残ってしまっていたわけです。

金井さん:なるほど、そうだったのですね。最初は困惑しました(笑)。

-正体不明のデータは、精神衛生上もよろしくないですよね(笑)。キチンとお伝えしておくべきでした、失礼いたしました。


-さて、I.B.MUSEUM SaaSは先ごろインターフェイスの刷新がありましたが、こちらについてはいかがでしょうか。

金井さん:それが、新しい画面はまだすべては使いこなせていなくて、一部の機能では旧画面を使っているんです。

-それは、画面や操作の慣れの問題でしょうか。それとも、機能面で気になることがおありですか?

金井さん:細かいことなのですが、たとえば出品歴のデータは初期状態だと古い順に表示されますよね。当館の場合は、毎回1970年代の展覧会が先頭に来るんです。旧インターフェイスでは新しいものから表示されていましたので、その方が使い勝手がよくて。

-なるほど。正確には出品歴ID順で表示しているのですが、表示のたびに並べ替えボタンをクリックするのは手間が増えますね。さっそく改善を検討します(メモ)。

金井さん:よろしくお願いします。

-かしこまりました。出品歴を蓄積されるということは、資料利用の機能もお使いですよね。

金井さん:はい、展示作品の候補をリストアップする時などに使うことが多いですね。

-あとは、クリップリスト機能とか。

金井さん:いえ、クリップリストよりは帳票出力をよく使います。

-え、展示作品の検討に帳票をお使いなのですか? 作品カードですか?

金井さん:はい、そうです。出力した候補作品のカードを机に並べて検討するんです。作品カードには画像がついていますし、登録されている情報を見るとそこに書いてある内容以外のことを思い出して、展示のインスピレーションが湧いたりしますから。

-なるほど、先ほどのExcelのお話にも通じますね。感覚を刺激する材料として使えば、確かにアイデアが広がりそうです。これはよいことをうかがいました(メモ)。

金井さん:なんだかアナログでお恥ずかしいのですが。

-そんなことはないですよ。何かを考える時にノートとペンを使う方も多いですし、アナログ的な感覚はとても大切だと思います。

金井さん:もちろん、デジタルの恩恵も受けていますよ(笑)。今日はお願いごとばかりでしたが、システム自体は今や業務になくてはならないツールとなっていますし。御社のご担当の方にも本当に感謝しています。

-ありがとうございます、担当者にお伝えしますね。よろしければ操作説明会を実施させていただきたいのですが、いかがでしょうか? 新しいインターフェイスでは、ドラッグ&ドロップで画像をまとめて登録できるなど便利な機能を多数搭載しておりますので。

金井さん:ぜひお願いしたいです! 出品歴は今後も蓄積していきますし、新しい収蔵品は画像も含めてすべて登録していますので、追加機能を待ちながら早く新画面を使いこなせるようになりたいです。

-ほかにも気になる点がございましたら、そのひとつひとつを解決できるような説明会にしたいと思いますので、ぜひ細かくお聞かせください。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

Museum Profile
文化学園服飾博物館 学校法人文化学園を母体とする日本では数少ない服飾専門の博物館。日本の宮廷装束やきもの、東アジア・東南アジアの民族衣装、ヨーロッパのドレスまで、コレクションは広い地域の服飾や染織品に及びます。展示では、衣服や染織の持つさまざまな側面を広い視野から捉え、服飾を通して多様な文化を分かりやすく紹介。年に数回の企画展、ギャラリートークや講演会も含め、服飾文化の集積地として高く評価されています。

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